ロボット——ある少年の黙示録
沼津平成
第1話
「僕はロボットなんだ!」
そうだ。僕はもう自分はロボットとしか思えないのだ。だから自分はロボットだ。人々の気持ちなどわからない、クズで最低なやつ。自分を卑下するなら何時間でも語ってやれる、寂しいという気持ちすらないやつ。っていうか、寂しいの使い方これであってる?
心ってなんだ。気持ちが
「もうロボットなんだよ!」
否定する両親を背に、僕は勢いよくドアを開けた——。
二千二十四年十一月一日時点で、僕は人間だった。
今日——十一月十七日、僕は自己がロボットだと判明した。ロボット製造番号00000、不良品のクズなやつ。定価の99.9%引き、0.5円で販売されるようなやつ。
人工知能でもなんでもなく、人工無能。テンプレ式の答えしか話せない、変な人以前。それなのによく口を開く、変無能以前。
読書が好きだった。読書をしているときだけ幸せだった。読書というのは、幸福に浸れる時間で、僕はこれは真実を悟る時間だと思っていた。
僕はロボットなんだ。受け答えしかできないやつ。所詮悟ってみた真実だって、誰かのプログラムの中にある。しょうもないやつを笑って欲しい。
僕はロボットなのだ。否定しようもない事実。ロボットはあまり得意じゃない運動を、それでも力の限り走っている。
そういや僕は頭以外はからっきしだったな。徒競走で勝った試しすらないし、学年でワースト3常連の僕が、一体どうして家出なんかできたろう。
人工知能ならまだしも行動がパターン化されている。いずれ見つかるだろう。
僕が壊れ始めた。それまで思いもよらなかった考えが浮かぶ。
僕は体の向きをくるりと変えて、目的地に向かって走り出した。
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