怪異払いの一ページ

寝ても疲れが取れない人

だら 前編

「お、おいもうそろそろ帰らないか?」

 闇の中、一人の男が体を震わせてそう言った

 目の前にはこの先立ち入り禁止区域という古びた看板が立てられていた


「は?ビビってんのお前?だっさ」

 もう一人の男が煽るように言うとビビってるわけねえだろ!と言って二人は立ち入り禁止区域に入っていった




「なんだよ.....これ.....!」


 目の前にはおびただしい量の紙垂と鈴を掲げた柵が立てられていた



「も、もうさすがにシャレになんねえって!」

 震えながら悲鳴にも近い声で言うがもう一人の男は腰抜けはそこで待ってろよと吐き捨ててさらに超えていく

 男は何かの視線を感じてしまい同じように柵を超えて追いかけていった




「おいおいおいおいおい!すげえぞこれ!お宝発見か!?」

 興奮しながらもう一人の男は目の前にあるにくぎ付けになる


 それは木と縄でできた六角形の空間の中央に錆だらけの箱があった


 もう一人の男は箱に駆け寄り





 箱 を 開 け た










「っはあ、はあ!」

 男はもう一人の男に追いついた

 その瞬間、視界に入ったのは



 上半身には人間ではありえないはずの6本の腕を持った女性の化物の傍に先に行った男が苦しそうにのたうち回っていた


「うっ!ああぁっ!」

 苦しそうなうめき声を出し、何とか拘束を解こうとしているがあまりにも力が強く、びくともしていなかった



 その時、化物と目があった




「あ、あっ!あああぁああアああアあぁアああアアあアッ!!!!!!!!」



 鼓膜が破れるような声と共にチリン!チリン!と先ほどおびただしいほどの鈴があった場所から鈴のなる音が聞こえた


「あ、あぁああ」

 本能で分かった

 あいつはこの世のものではないこと

 俺はここで死ぬことを


「いやっだ.....嫌だ!こんなところで死にたくない!誰か!誰か助けてくれ!」

 恥を捨てて叫ぶ

 喉が痛い

 けど死ぬよりはましだ

 そう思い俺は叫び続ける


「誰か!誰か!助けてくr」






 その瞬間、黒い風が目の前をよぎった気がした

 そして、いつの間にか目の前に、男がいた

 全身、夜の暗さに溶け込むような黒を身にまとい手と足が非常に長く、顔は見えなかった





「やれやれ、とんでもない空気がしたと思ったら....とんでもないことをしているな」

 あきれたような目でのたうち回っている男を見ながらそう言った

 そして僕を見て、

「危ないから後ろに下がって。君は巻き込まれただけなんだろう?」


「はっ!はい!」

 僕はそう答えて体を引きずり、後ろに下がる



「それじゃあ、始めようか」



「怪異退治を.....」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怪異払いの一ページ 寝ても疲れが取れない人 @ruisyousetu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画