大好きな彼女に裏切られ、俺の心は壊れしまった

理亜

Episode①【佐藤和樹】

第1話 浮気①

「気持ちいいか! 優菜!」

「うん、凄く気持ちいいよ……んっんっ……あっあっ」


 現在の時刻は21時30分。もう外は真っ暗だ。

 真っ暗な公園に二人の男女がいた。

 2人は服を脱ぎ捨てて肌を重ね合っている。

 冷たい風が肌に触れても全然寒くない。激しく体を動かしているので、むしろ身体は熱かった。

 その証拠に全身から汗が浮き上がっていた。

 優菜も汗をかいていた。

 

 本当はホテルでこういうことしたかったんだけど……俺も優菜もバイトをしてないのでホテルに行く金がない。

 今優菜の家は妹さんがいるし、俺の家にも母と弟がいるのでエッチはできない。なので仕方なく俺たちは公園で肌を重ね合っていた。


 この時間になるとこの公園は静かになる。

 邪魔者は誰もいない。

 セックスしても問題はないだろう。

 

 俺が求める度に優菜は甘い声を漏らす。

 そんな彼女に声をかけた。


「優菜」

「な、なに?」

「ゴム外してもいい?」

「だ、ダメ……それは絶対ダメぇ」

「なんでだよっ……。優菜は俺のこと好きなんだよな?」

「う、うん……大好きだよ」

「なら生でヤらせてくれよ。なぁいいだろ?」

「和樹のこと大好きだけど生はダメ……避妊はちゃんとしてぇ」

「ちっ、わかったわかった。生は諦めるよ」

「うん、ありがと……きゃっ、んっんっ……急に激しくしないでぇ」

「優菜、こういうの好きだろ?」

「う、うん……大好きぃ」

「ならもっと激しくしてやるよ」

「うん、お願い♡」


 中学2年生の頃、優菜が俺に告白してきた。

 俺も彼女のことが気になっていたので、付き合うことになった。

 もう付き合って2年が経つ。

 2年経っても俺達は仲良しのままだ。

 今も彼女のことが大好きだし、セックスもほぼ毎日している。


 たぶん、俺はこの子と結婚するんだろうな。

 そんなこと思いながら優菜を求める。


 行為が終わったあと、俺達は服を着て帰路につく。

 突然、手に柔らかい感触が伝わってきた。

 優菜が手を握ってきたのだ。

 俺も優菜の手を握り返す。


「優菜はさ……俺のこと好き?」

「え? 急になに? どしたの?」

「ちょっと気になったんだ……。でどうなんだよ? 俺のこと好きなのか?」

「そりゃ好きだよ」

「そっか……」

「和樹はどうなの? アタシのこと好き?」

「ああ、大好きだよ」


 俺がそう言うと優菜は「えへへ」と幸せそうに笑う。

 いつ見てもこの子の笑顔は可愛いな。

 可愛すぎて彼女の頬にキスしてしまった。

 俺にキスされても優菜は嫌な顔しなかった。どちらかというと嬉しそうだった。

 ほんと俺の彼女は可愛いな……。


「ねぇ明日も遊ばない?」

「ああ、いいよ。明日は俺んち来るか?」

「和樹の家? いいの?」

「いいよ。明日は誰もいないし」

「へぇ~、誰もいないんだ。エッチし放題だね」

「だな」

「ぷくく、和樹エッチな顔になってるよ?」

「優菜だってエッチな顔になってるよ。そんなに俺としたいの?」

「うん……したいっ」

「ははっ、そっか。明日はたくさんしような」

「うん、約束だよ」








 ◇◇◇





 次の日。

 今日は優菜が俺の家に遊びに来る。

 なので軽く部屋を掃除した。

 今日はたくさんヤるだろうし、コンビニで4個入りの避妊具を買った。

 よし、準備できたぞ。


 俺は優菜が来るまでベッドに寝転び、スマホをいじっていた。

 何分経っても優菜は家にやってこない。

  

 優菜のやつ、遅いな……。

 何かあったのかな?


 心配になった俺は優菜に電話する。

 電話はすぐに繋がった。


『優菜、今どこにいるんだ? 家か?』

「う、うん、そうだけど……」

『は? なんでまだ家にいるんだよ。今日は俺とデートする約束してただろ? 早く俺の家来いよ』


 俺がそう言うと、優菜は黙り込む。


 は? なんで黙り込むんだよ? 

 返事しろよ。

 

 もしかして今日のデート忘れてたのか? 

 いや、それはないと思うけど……。

 だってデートの約束したの昨日だぞ?

 昨日した約束は流石に忘れないだろ……。

 しばらくして優菜は返事した。


『悪いけど今日は無理……また今度デートしよ』

「はぁ? なんで無理なんだよ?」

『それは……きゃっ!?』

 

 突然優菜が甘い声を漏らした。


「え? う、嘘でしょ……? きゃっ、んっんっ」

「どうした、優菜?」

「な、なんでもないよ、き、気にしないでっ……んっんっ、きゃっ」


 再度優菜は甲高い声を上げる。

 スマホのスピーカーからギシギシとベッドの軋む音まで聞こえてきた。 


 なんだ? 何が起こってるんだ? 

 優菜のやつ、具合でも悪いのかな……?  

 心配だな。

 

 突如、スマホのスピーカーから『やべぇ、まじで気持ちいい』と男性の声が聞こえてきた。


 え? は? 

 お、おい、ちょっと待て。

 今、男の声したよな?


 アイツ、今俺以外の男と一緒にいるのか?


 もしかして浮気? 

 優菜のやつ、俺に隠れて浮気してたのか? 

 いやそんなバカな……。

 あの優菜がそんな酷いことするわけがない……。

 じゃあなんで今さっき男の声が聞こえてきたんだ?

 あれは幻聴か?


「んっんっ……」

「お、おい、優菜?」

「な、なに……? んっんっ」

「さっきから様子変だぞ? 大丈夫か……?」

「んっんっ……だ、大丈夫よ。心配しないでっ、きゃっ……んっんっ、あん♡」

『おい、まじで大丈夫なのか……? もしかして熱あるのか?』

「う、うん、そうなの……。だからごめんっ、今日は無理っ……デートはまた今度しよっ……」

「……」


 本当に熱なのか? 

 とてもそうには思えないけど。

 だが、あの優菜が俺に嘘をつくとは思えないし。

 納得はできないけど、ここは彼女を信じるか。


『そっか。なら仕方ないな。デートはまた今度にしよ』

「う、うんっ……んっんっ、あっ」

『また夜電話するよ、優菜』

「んっんっ……またね、和樹。愛してるよっ……きゃっ」

『俺も愛してるよ、優菜』


 再度スマホのスピーカーから『この女まじでエロいな』と男の声が聞こえてきた。

 それと同時に電話が切れた。


 まただ……また男の声が聞こえたぞ。

 やっぱりアイツ、浮気してるのか……?

 だが一体いつから?

 そもそもなんで浮気したんだ? 

 俺のことが嫌いだから? 

 いや、それはないと思うけど。たぶん……。


 今も優菜は浮気相手とエッチしてるのかな? 

 そう思うとギュッと胸が締め付けられる。

 

 あぁぁ……なんだこれ。

 すげぇ胸が痛い。


 俺、NTRとか結構好きだ。 

 昨日もNTRモノの漫画で抜いたし。

 そういうのに耐性があると思ってたけど、そんなことなかったわ。

 当事者になるとまじで辛い……。

 人に殴られた時より辛いかも。


 い、いや、待て待て。

 まだ優菜が浮気した、と決まったわけじゃない。

 たぶん、俺は勘違いしてるんだ。

 うん、きっとそうだ。

 あの優菜が浮気するはずがない。

 彼女を信じろ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大好きな彼女に裏切られ、俺の心は壊れしまった 理亜 @ria012345

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ