朝の詩人
鐸木
朝の詩人
チィ、チチチと詠う者が居る。毎朝、僕の下宿屋にキチンと六時半きっかりに訪れる、几帳面な奴だ。彼の詩の才能は実に素晴らしく、あの独特なリズムが聴こえたならば、すぐに眠気も覚めてしまう。今日もまた義理堅く窓辺に止まり、羽を揃えて詩を作る。時に情熱的な、時に叙情的な詩を作る彼は、自身の才を理解しながらもそれをひけらかさない聡明な奴なので、詩を僕に聞かせると、顔も見せずにさっさと飛んでいってしまう。つれない奴、と彼が飛んでいった道のりを見ていると、窓辺に、白くふわりと質量を持たないものがあるのを見つけた。それは謙虚な白い羽根だった。堅苦しいと思っていた天才詩人は、僕が思っていたよりお茶目な奴だった様だ。
朝の詩人 鐸木 @mimizukukawaii
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