第3話:なんと悔しい

「腸の穴が、ピンホールくらいです」

点滴を吊るした私に、若い医者が言った。

「マンホールじゃなくて、よかった」

渾身のギャグを完全スルーされた悲しさが、今も癒えない。


私の癒着性イレウスと寒い冗談には、薄々自覚はあった。


食べられるが、食べられない。

ぜんぜん、まったくもって、食べられる。

なのに食べた2時間後あたりから、食べた自分を呪う。

まぁまぁ、ときにまったく、食べられない。


悔しいです、の一言に尽きる。



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