第241話 カタカナ
翌日からシロ達は動き始めた。
正確には、うちで決めた事を教えに行った。
勿論、腹黒い部分は隠して。
クロは王都まで、シロの手紙を持って行ったらしい。
別荘に居る者に話しても伝わるのが遅いから、との事。
そして3日後。
その国の二人と、希望した冒険者に同行してメガが出発した。
希望した冒険者は20人くらいだそうだ。
ランクもBBからCFと幅広い。
メガが一緒なら危険は無いと、多くの冒険者が立候補したらしい。
でも、夕方になると帰ってきた。
「どうした? 道中で何かあったのか?」
「いいえ。帰宅時間になったので帰っただけですが」
「帰宅時間?! 一緒に行った冒険者は?」
「テントを張って野宿していますよ」
「えっ?! 危険じゃないか?!」
「簡易の結界を張っておきましたので、安全でしょう」
「そうなのか? でも飯とかは?」
「私がアイテムボックスに入れて運んでいます。
明日の3食も、明日の朝作られたものを入れて運びます」
「って事は水もか?」
「水は魔法をトウに作ってもらっています。それを使いました。
木の幹に、触れば水が出る魔法をかけましたので」
タッチセンサーかよ。
どれだけ便利なんだよ、魔法。インチキだろ。
「じゃあ毎日通うのか? 面倒じゃない?」
「野宿の方が面倒ですよ」
そう言われれば納得だ。
家の便利さを知ってるだけに、野宿とかキャンプなんて俺には無理。
というか、喜んでする人の気持が理解出来ない。
まぁ、通いで問題無いならそれで良いさ。
頑張ってくれ。
メガが通い始めてから一ヶ月。
その国に入り、決められた拠点に到着したらしい。
メガだけは、明日その国の中枢の人達と会うそうだ。
あの二人が連れてきたんだから当然なんだってさ。
王とか貴族と会うんだろ? 面倒な話だ。頑張って欲しい。
と考えていたらビデオカメラを持ってきた。
明日撮影するらしい。
何を企んでいるのだろうか?
翌日の夕方帰ってきたメガは少し不機嫌だった。
予想した通り、王や貴族の態度が悪かったらしい。
「何があったんだ?」
「こちらは乞われて行ったのです。
なのに最初からバカにしてきました」
そう言いながら、ビデオカメラをテレビに接続するメガ。
なるほど。その様子を撮影してきたのか。
まず、入るなり罵声が飛んできた。
どうやら冒険者程度が謁見出来ただけでも感謝しろ、みたいな事を言っている。
だが、その後、誰の姿も見えない事に不思議な顔になった。
そりゃそうだ。入ってきたのは例の二人とメガだもん。一見じゃ判らないよな。
二人がすかさずメガを紹介する。
するとまた罵声が飛び交う。
と言うか、一方的にバカにしている。
「カメに何が出来る!」「我が国ではカメは不吉の予兆とされているのだ!」
「やれると言うならカメだけで我が国の騎士の相手をして見せろ」
「だが攻撃はするなよ。これからモンスターとの戦いがあるのだ」
見事な自分勝手。
誰一人として助けに来たメガに対して労りの言葉を言わない。
うん。俺ならこの時点で帰るね。全て見捨てるわ。
だが、メガは違った。
まず魔法で建物(城か?)を揺らした。
全員が黙った所で、宣言をした。
「主に言われてきました、メガと言うものです。
散々バカにして居ますが、頼んできたのはそちらです。
バカにされてまでやる意味は無いですが、それでは主の顔に泥を塗る事になりかねません。
なので、その騎士とやらの相手をしてあげましょう。
主との格の違いを教えてあげましょう」
そう言って口に油性マーカーを咥えた。
何をするのかと思ったら、襲いかかってきた全ての騎士とバカにした貴族の額に「バカ」と書いて回っている。
カタカナで書いても読めないだろうに。
騎士から受ける攻撃は全て無視。神の結界のみで受けている。
だから誰もメガを止められない。
全員に書き終わると同時に、ビデオは終了した……。
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