第171話 リューと王様の話
シロが帰ってきた。
話を聞けば、商談は成功だったらしい。
大工の手配までしてきたようだ。偉い。
暗に高級猫缶を要求されたが……まぁ今日くらいは良いでしょう。
ドラゴンは家が建つ事を喜んだ。
湖の中に住んでいたのは、邪魔が入らないようにする為だったらしい。
別に穴の中でも良いそうなんだけど、しょっちゅう絡まれるそうだ。
多いのが、やはり人間なんだって。
ドラゴンスレイヤー、ま、憧れるよね。
家を建ててその中に住んでいれば、そりゃ襲ってこないだろうな。
襲えば冒険者じゃなくて、不法侵入の強盗だ。下手すれば殺人?未遂だろ。
ふと思ったけど、ドラゴンが住むってのは王様に知らせて許可はもらってるけど。
近くに別荘があるし姫様も居るんだが問題無いのかな? 大使館もあるぞ?
……OKは貰ってるんだ。任せよう。何かあっても俺のせいじゃないぞ。
あれから1ヶ月。
ドラゴンの家の建築が始まった。
皮は高値で売れたらしい。
というか、王様がドラゴンを見に来て、そのついでにギルドに行って買って帰ったそうな。
住む許可は貰えたので良かったね。
しかし、俺をドラゴンの後見人にするのはどうなのだろう?
俺が連れてきた訳じゃないんだけどな!
そのドラゴン。
既に人気者です。
本来優しい気性のようで、子供に大人気だ。
最近は姫様も我が家に来ずに、ドラゴンの所に行き遊んでいる。
ドラゴンの気配で危険な獣もモンスターも近寄らないらしいので、周囲も安全になったらしい。
問題は、ドラゴンが「ドラちゃん」と呼ばれている事だ。
聞いた時は『青い猫型ロボットかよっ!』と思ってしまった。
今は俺が「リュー」と名付けて、そっちで呼ばせている。
えっ? 安直? 判りやすくて良いだろ? 漢字で龍と書かなきゃバレないんだし。
さて、話は少し戻して。
王様が来た時の事だ。
ドラゴンの事だけで来た訳じゃ無かった。
相談があるそうな。
「孤児院とスラムを利用した学校が完成した」
「おおっ! おめでとうございますね~」
「軽いな!」
「いや、俺、関係無いだろ?」
「そこで教鞭を振るって欲しいのだが」
「無理です。イヤです。家から出ません」
「……そう言うとは思っていたが。
そこでだ。理事長になってくれ」
「なんでだよ!」
「一応王立だが、トップには威厳がある者がなった方が良いだろ?
貴族から選ぶと、また自由にしだして腐敗の原因にもなりうる」
「俺だと良いのか?」
「ああ。貴族とは関係無いし、学もある。バカな事はしないだろ?
それに理事長なら、学校に出る必要は無い。重要な事を決める時だけ裁決してくれれば良い。どうだ?」
「ああ、名誉職みたいな物か。それならまぁ良いけど」
「そうか。良かった。
では、これからの学校の教育の方向について決めてもらいたい」
「……仕組んだな!!」
「はっはっはっ。何の事やら。さ、理事長、どうするんだね?
重要な事だから、理事長の仕事だぞ?」
汚い! 王って汚い!!
気軽に返事した俺もダメだけど!
……いや、待てよ?
こ、これは、定番じゃないか?!
異世界で学校だぞ? 学園編キターーー!!
生徒になりに来たのに教師になるのか? テストで常識外な行動をして有名になるのか?
平民の俺が貴族と争うのか? 貴族が平民を見下す?
王子が入学して、ハーレムの始まり?
って、俺が入学する訳じゃないじゃん!
意味ねー!!
いや、待て待て。
ここでラノベの基礎を作っておくべきでは?
そうだよ。そういう環境を作れば、そういうのが起きるかも!
それを理事長の立場から眺める。うん、それも面白そうだ。
ふふふ、俺に任せたのを後悔するが良い!!
「判ったよ。
じゃあ実行したい事が3つある」
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