第87話 前足を活用?
「俺は何をすれば良い?!」
「釣り糸を用意してください」
「判った! 他には?!」
「以上です」
「は?」
「正確には、魔力が必要なので、じっとしておいてください」
何をする気だろうか?
魔力が居るって事は、シロクロに俺が補充するって事なのか?
まぁ魔素なら山のようにあるので、いくらでも分けるけどさ。
シロに釣り糸を渡すと、全長を2つに分けて玄関まで持っていった。
そして片側を門扉に縛った。
門扉から釣り糸が2本出ている状態だ。
それで悪魔を縛るのか? ちょっと無謀じゃない?
そんな事を考えてたら、両端をシロとクロが咥えて走り出した。
それは凄いスピードで、悪魔は何もする間も無かった。
そのまま悪魔を中心に、円を描いてシロとクロは合流。
その状態で2本の糸を繋いでしまった。
凄~く今考える事じゃないと思うけど。
シロやクロは、どうやって釣り糸を結んでいるのだろうか?
あの手(足?)で出来るとは思えないんだけど。
おっと現実逃避をしてしまってた。
結局何をしたいのかが判らない。
だが、次の瞬間、驚きの光景が展開した!
以前の実験で、糸を伸ばしたら結界も伸びる事は判明している。
それに応じて、俺の魔力消費量が増える事も。
だが、伸ばした先を繋いだらどうなるかは知らなかった。
それが目の前で起きたのだ。
つまり糸に沿って伸びた結界は、糸が繋がる事で結界になったのだ!
そしてそれはまたたく間に空に向かって展開し、シャボン玉に入ったようになった。
そう! 悪魔は虫ごと巨大なシャボン玉という結界の中に閉じ込められた!
神の結界の事だから、見えないけど地中にも展開されているだろう。
しかし、悪魔には見えていないようだ。
まだ余裕の態度を見せている。
「何をやっているのかな?
そろそろ始めさせてもらうぞ。絶望を味わうが良い!」
「どうぞ。こちらも準備は終わりましたので、ご自由にしてください」
「ふん。ネコと犬に何が出来る!
ではまずあちこちに少量づつ召喚させてもらお……な、なぜだ! 魔法が発動しない?!」
結界に囲まれた結果、魔法が発動しなくなった。
なるほど。逃げられないように囲ったのだと思ってたけど、これも狙ってたのか!
すげー! 俺より頭良いんじゃね?
「もう貴方はどうする事も出来ませんよ」
「何をした!」
「主の結界で囲ませてもらいました。
この中に居る間は魔法を使う事は出来ません。
それに主の許可が無ければ、出る事も入る事も出来ません」
「そんな事があるものか! 転移して逃げれば……転移も出来ないだと?!
ならば、地の底を行けば良い!!」
そう言って悪魔は地面に潜っていった。
すごいな、まるで地面が水面みたいに入っていったわ。
すぐに出てきたけど。
「地の中にも結界があるだと?! ありえない!」
「ありえないと言われても、これが現実ですよ。
さて、貴方の周囲に居る虫を退治させてもらいましょうか。クロ、行きますよ」
「はーい!」
囲まれた瞬間から、虫は束縛から解き放たれていた。
束縛方法も魔法だったのだろう。
だが、虫は悪魔の周囲を離れなかった。
憶測だけど、虫には結界の力が判ったんじゃないかな?
3分程で、シロとクロの活躍により虫は全て退治された。
残るは悪魔のみ。
「こ、こんな事がありえるのか?!
わ、私は第2級悪魔だぞ!!」
「100人の内の1人ですか。では効果がありそうですね」
「こ、効果だと?! 何を考えている?!」
それから、シロクロによる拷問が始まった……。
怖いです……。
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