第72話 猫缶の効果

シロさん、何処から猫缶を?

あぁ、アイテムボックスね。


って! その猫缶は!

確か10缶で100円という超お得なやつじゃないか!

シロが一口食べてすぐに拒否した、あの伝説の猫缶!

それを食わせるのか?!


……んん?! チョット待って?

それ買ったの、2年くらい前だったよな。

え~と賞味期限は……切れてるじゃないか!

元々賞味期限が近かったから安売りしてたのかも。

……じゃない! 捨てろよ!


おいおい、ご丁寧に先割れスプーンまで渡してるよ。

何考えてんの?!


あっ、食った……。俺、知~らないっと。


「むむっ! これは! なんという味わい!!」

「はぁ?!」


この人、舌大丈夫か?

それが美味いのか? 賞味期限切れてるし、そもそも猫缶だぞ?


「ふっ。それが主の料理の底辺ですよ?」

「なななななななななんという! では上の料理を……」

「まさかこれよりも上の料理を出せ、と言うのでは無いでしょうね?

 その料理も判らないのに」

「どういう事だ!」


シロさん、止めて下さい。

何を言ってるのか理解出来ないけど、すごくバカにされてる気がします。

俺が作ったんじゃないですよ! 市販品ですから!


「その料理に使われている材料・調味料、そして料理工程。

 これらが理解出来ない者が、上の料理を食べるのですか?

 ただ美味しければ良いと?」

「むむっ……」

「真の美食家は、そういう事を全て見通し、食べる際に語るのです。

 そのレベルになってから出直しなさい」


シロはどうやら、料理マンガに毒されているようだ。

そんな人、実際には居ないからね?

というか、居たら嫌われるタイプですからね?

間違いなく皆から「うるせぇ! 黙って食え!!」って怒られるよ?


「猫、いや、貴殿の言いたい事は理解した。

 確かに今までワタシは慢心していたようだ。

 主のカズマ殿。迷惑をかけた。許して欲しい」

「……い、いえ、別に……気にしないでください」

「……さすが猫殿の主。心も広いのだな」

「そうですよ。主は凄いのです」

「わはははは。ワタシもそう家臣に言われるように頑張らなくては!」


なんか訳が判らない内に和解してるし。

俺、蚊帳の外だし。


サルム(?)さんは、俺んちから離れると指笛を吹いた。

すると森の方から1頭の馬が走ってきた。

あ~、アレに乗って来たのね。


「それではこれで失礼する!

 近い内に詫びの品を贈らせてもらう。

 そして猫殿! あの味を再現したらまた食わせてもらえるかな?」

「はい。いつでもどうぞ」

「ありがとう。

 むっ。こんなに心から『ありがとう』を言ったのは何時以来だろうか。

 ふふ、たまには親孝行でもするか……」


一人で完結して帰って行ったよ……。

ほんと~に、何しに来たんだ、あの人!!


しかし、シャティさんとギルドマスター。

どちらが広めてるのか知らないけど、今度文句を言っておかないとな!

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