第58話 シロの回。ドラゴン編・その2
『シロの回。ドラゴン編・その2』
主から許可ももらいましたので、早速山に向かいます。
今回はクロも一緒。楽しい冒険になりそうですね。
クロは途中にある草や、時折現れる獣に興味津々。
すぐに脇道に逸れてしまいます。
まぁ私もネコジャラシを発見した時は10分くらい堪能してしまいましたが。
それでも夕方になる前には山頂付近に到着しました。
さて、薬草はどこでしょうか。
そして、それを守るドラゴンは何処に居るのでしょう?
もう少し進むと、そこには大きな湖がありました。
確か……カルデラ湖と言うのでしたっけ?
そのような名前だったと思います。
あぁ、この湖の名前ではなく、火山活動で出来た湖の事でしたね。
どうやらこの湖の周囲に生えている草が目的の薬草のようです。
しかし、周囲には生き物が居ませんね。
やはりドラゴンが居るというのが関係しているのでしょうか?
薬草を採ろうと湖に近づくと、突然湖が盛り上がりました。
どうやら、ドラゴンは湖の中に居たようです。
しかし、本当に薬草を守っているのでしょうか?
その登場の仕方のせいで、薬草が水浸しになっていますけど。
「……ふん、犬と猫か。ここは我の住処。散れ」
「という事は、貴方が邪魔をするというドラゴンですね?」
「ほほぅ、喋る猫か。何用だ」
「貴方を倒しに来ました」
「…………ふはははははは! 猫が、いや、猫と犬が我を倒すだと?!
久々に大笑いしたわ! 冗談を言わずに帰る事だな。
今なら機嫌が良いから引き返す事を許してやろう」
偉そうに喋っていますね。
さて、クロは……あぁ、カメラを設置しに行きましたか。良い子ですね。
「ほら、お前の連れの犬は去っていったぞ?
それとも恐ろしくて歩く事も出来ないか?」
おや、クロが今何処に居るかも判らないのでしょうか?
とすれば、大した事の無いドラゴンですね。
さて、では私も準備しましょうか。
このボタンを押せば録画開始でしたね。
クロの方は……カメラに赤いランプが点灯したので録画開始になりましたね。
先に仕掛けても良いですが、それではクロが拗ねる可能性もあるので待ってあげましょう。
「……何をしている?」
「貴方を倒す準備です」
「……ふはははははは! まだそのような寝惚けた事を言っているのか?!
さすがに何度も言われると、馬鹿にされているようで気分が悪いぞ?」
「バカにしていませんよ。本気なのですから」
「……後悔する間もなく殺してくれるわ!」
攻撃しようと、尾を持ち上げて叩きつけてきました。
まだクロが来ていないのに。まぁ、受けてあげましょう。
「……跡形も無くなったか……って痛い!!
えっ?! 痛いって何で?! あっ! 我の尾に穴が空いてる!!」
じっとして受けただけなのですが。
攻撃していませんよ?
あぁ、理解しました。
あれですね。この間見ましたよ。
家で主が、クロの落としたカリカリを踏んだ時です。
「痛ぇ!!」って飛び上がってました。
つまり尾よりも硬い結界を纏った私を思い切り叩いたので、凹んだのでしょう。
ドラゴンの尾からは少し血のような物が出ていましたが、今は止まっています。
これが本で読む再生能力というやつでしょうか?
「よくもやりおったな、猫の分際で!」
「何もしていませんけど?」
まだ自爆したと気づいていないようです。
おっとクロが帰ってきました。
「おねえちゃ~ん! ちゃんと置いてきたよ!」
「よく出来ました」
「えへへ~」
「じゃあ始めましょうか。先制攻撃はクロに任せます。大丈夫ですか?」
「うん! 出来るよ!」
そう言って飛び出していきました。
水の上を走ってますね。風魔法でも使ったのでしょうか?
そしてそのまま尾に噛みつきました。
あ~、そこは奇しくも先程私に当たった所ですね。狙いましたか?
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