第51話 魔法使いがあらわれた!

「粛清って、どんな規模だったんです?」

「我が国の貴族の3分の1が、何らかの処分を受けました……」


ダメな国!

3分の1もダメな貴族が居たって事じゃないか!


しかしそれでも決行するって、なかなかの勇気だ。

クーデターが起きても不思議じゃない。


……そこには関わらないようにしよう。

もう関わってるけど。

これ以上は、って意味だね!


「で、シロとクロに退治された、あの兵士達はどうする?」

「順々に連れて帰って、処分です」

「処分?! 内容を聞くのが怖いな……。か、軽いのだと?」

「軽い罪ですと……強制労働ですね」


軽くて強制労働か……。

重いとクビチョンパかもなぁ……。

こちらには全然被害が無いから罪が重く感じるけど、そういう事じゃないのだろう。


「じゃ、じゃあお任せします」

「ありがとうございます!」

「それで、要件は以上?」

「はい! っと。そう言えば陛下から言われていた事がありました」

「何かな?」

「……『今年度の会計もよろしく』だそうです」

「それは仕事の依頼だから、別に怒らないよ。ビクビクしなくても大丈夫だから」

「そ、そうですか? すみません。シロ様やクロ様の戦いを見た後ですので……」

「ああ、俺が怒ってけしかけると? 無い無い、大丈夫だから。

 結界に入れるような人に襲いかかるような事は無いよ」

「……そうですか、安心しました。では、これで失礼します!」

「あっ、帰るの?」

「ええ。早く連れ帰らないと死ぬような者も居るようなので」


あっ、そこはすみませんでした。

輸送、頑張って下さい。





国の騒動もこれでひとまずは解決か。

貴族もしばらくはバカな真似はしなくなるだろうな。


と、のんきに生活する事2週間。

突如静寂は破られた。


……っていう程の事じゃ無いんだけどね。

ただ単に来客があったってだけ。


インターホンを連打するんだもん。

うるさいよね。そしてウザいよね。

緊急の用事なんだろうか?


監視カメラで見てみると……おおっ! 見事な魔法使い姿!

三角のとんがり帽にローブと杖!

ザ・魔法使い!

挨拶をせねば!


「はいはい。魔法使いさん、どのようなご用件で?」

「私の名はイグルス! 全ての魔法を操りし男!」

「……は、はぁ。それで?」

「若くして全ての魔法を網羅し、天才と呼ばれし男!」

「…………」


なんだろう?

中二病の人かな?

セリフを言うのにも、いちいちポーズを取ってるし。

そうしないと喋れない病気にでもかかってるのか?


「その、イグ……さんが、何の用です?」

「イグルスだ! 覚えろよ! 簡単な名前だろ?!」

「すみません。で、その、イカルスさんが何の用で?」

「ウルトラ怪獣みたいな名前じゃない! イグルスだ!!」


何でウルトラ怪獣を知っているのだろうか?

流行ってるのか? 有名なのか?

それともこちらの世界には本当に居るとか?

今度神様に聞いてみよう。


「それで何の用です?」

「とうとう名前を言うのを止めやがった!

 ……まあ良い。要件か。それはこの結界だ!」

「結界?」

「かなり強固な結界と聞いた! それを破る為に来たのだ!」


うん、面倒な人が来たね。

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