第18話 寝る前にする事

さて、寝る前に解決しなきゃいけない事が2つある。


1つは、ゴミの問題。

こっちの世界にゴミ処理場なんかある訳が無い。

予想では燃やしてるんだと思う。

だが、俺の出すゴミを燃やして良いのか?

ビニールやアルミホイルなど、燃やすとヤバそうな物が多い。

壊れた電化製品など、不燃ごみも出てくる可能性がある。

埋める? いやいや、土地に問題が出たら処理できない。


結局の所、日本に捨てる事しか手が無い。

繋がってるからOKとも言えるが、契約では荷物の受け取り時しか通らない事になっている。

電話して許可を貰うしかないか。



もう1つはギルドの仕事。

受けたのは良いが、連絡を密にしたい。

日本ならメールや電話で連絡出来るが、そういう方法が無い。


街まで電話線を引くか?ってそんな技術なんか持ってない!

知識はあっても、実践出来るかは別。はっきり言って無理。


同じ事で電気を通すのも無理だな。

俺に出来るのは、せいぜい家のコンセントから延長コードで伸ばすくらいだ。

それも確か長さに制限があったと記憶している。

どっちにしろ、1km以上も延長コードを引くのは無理だろ。


後は……無線か?

昔、違法なトランシーバーだと遠くまで電波が届くって聞いた事あるな。

でも、それも結局電気が必要か。

一応検索してみよう。


……う~ん、長距離のは携帯電話の電波を利用してるのか。

中継局は……当然無い。無理だ。

それにバッテリーが、長くて1日しか持たない。

こりゃダメだ。


あっ、トランシーバーと無線って違うのか。

無線で検索っと。

……なるほど。ここを中心にして、360度に電波を飛ばすのね。

受信機は……トランシーバーみたいなのもあるな。

これは電池式か。これならイケる!


いやいや、まず無線のアンテナとかセットしなきゃいけないじゃないか。

誰がする? 俺とシロしかいない世界で?

ははははは、無理だね。


良い方法が見つかるまで、シロに宅配して貰おう。メール便だ。

黒猫だし、丁度良いじゃないか。



あっ、ギルドの仕事で思い出した。

良く考えたら、渡される書類って、こっちの言語で書かれてるよな……。

『会話』のスキルは貰ってるけど、読んだり書けたりしないよね~。

読める文字でありますように!!

ダメなら、これも電話して要請しよう。




2日後。

シャティさんがやってきた。

知らない人を連れて。


「シロ、アレ誰か知ってる?」

「あれはギルドマスターですね」

「おおっ! トップがやってきたのか。……入れないみたいだな。」

「そうみたいですね」

「って事は俺に何かしらの害を与える存在なのか?」

「狩ってきましょうか?」

「待て待て。何でそんな好戦的なんだ」

「猫ですから」

「……そうだけど。とにかく、攻撃はよせ。

 害があると認識されたら通れないって話して来いよ」

「判りました」


シロが玄関に向かったので、俺はインターホンを利用して会話を聞く事にしよう。


「あっ、シロ様!」

「どうもシャティさん」

「あの、ギルドマスターが通れないんですけど……」

「この結界は主に害を及ぼすと感知すれば、通れないようになっています。

 主に害を及ぼすつもりですか? 去勢しましょうか?」


おい、シロ。害を及ぼすってだけで何でそっちに話が行くんだ?

えっ? ギルドマスターってそっち系の人?


「や、止めてくれ! 害を及ぼすなんて考えてない!!」

「ではどうして通れないんですか?」

「…………」

「あっ、もしかして」

「シャティさん。心当たりでも?」

「はい。もしかして、便利に使おうとか利用しようとか考えてますね?」

「そ! そんな事は無い!」


あ~、なるほどね。

有能な者なら都合の良いように運用してやろうって事か。

それを害だと認定して通さないと。


普通の人間なら怒るだろうな。

だが、俺は怒らないぞ。

俺も会社のトップだからな。

利用できる者は利用する。ズルい・汚い、じゃないんだよ。

その会社を維持するのに、トップには必要なスキルだ。

まぁ、利用される気はないんだが。

どうにか改心して入ってもらうしかないね。

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