撮影はクライマックスを迎えていた。

「俺、咲の事ずっと好きだった！」

「嬉しい…… 私も、私もよ」

修哉が咲を激しく抱きしめた。

そして修哉の唇が咲の唇に合わせられた。

2人はお互いの想いを伝え合うようにキスを交わしていた。

「はい、カット！OKです！」

出来た……！

望奈はホッと胸を撫で下ろした。

これもみんな暖のお陰だ。

「望奈ちゃん、良かったよ」

演出家から初めて褒められた。

「有難う御座います」

望奈には次の予定があったので、直樹の所へ戻って行った。

「須賀ちゃん、私、今日初めて演出家さんから褒められた」

車の後部座席に座って直ぐに望奈はその事を直樹に伝えた。

望奈は満面の笑みを浮かべている。

「それは良かったですね」

直樹の声も嬉しそうだ。

「次は何？」

「チョコレートのCMの撮影です。着くまで寝てたらどうですか？」

直樹が振り返ると、望奈はいつの間にか眠っていた。

直樹は笑顔を浮かべると、車をスタートさせたのである。

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