レズビアン 2

私は例の行動力で次々と女性と関係を持った。

両手の指の数ほど。


元々、女性に興味があったわけでもなく、本当に純粋な好奇心だけだった。


私は男性との営みで果てたことがなく、世の女性がそうやって夜な夜な登りつめていることに半信半疑だった。

かといって、男女がまぐわってる中をひとりの女がただ視姦するなんてアブノーマルな話はそう転がってないわけで、その生理現象の真偽はずっと謎に包まれていた。


それが嘘でも何でもないことはすぐに分かった。

はじめのうち、私はそれに夢中になった。

私にとって目新しく、そして会話より距離が近づくコミュニケーションだったからだ。

(私はコミュニケーションが上手くないからね。)

ただ少なくとも、私が枕を共にした彼女たちにとっては、男女の事後ほど、距離の近づき方や恥じらい、情動はなかった、と思う。

せいぜいお泊り会ぐらいのものだろうか。

あとは不思議なもので、その立ち回りになれてくると、顔つきが変わってくる。

これは私だけかもしれないが、男性ホルモンが優位になるのか、フェミニンな格好に少し違和が生じるようになる。

意図して粗野に振る舞うつもりはなくとも、何かリミッターが外れてしまったようだ。

女というだけで、実は知らずに享受していたものを知る。


そして、私は自然と男でも女でもない変な人として扱われ始め、それが思いがけず恥をかくという自傷行為に取り憑かれている私のニーズと合致し、より生きにくく、この世に未練がなくなっていくが、安安とは死ねず、黄泉の国でも良い、とにかくどこか未踏の地へと焦がれる気持ちだけがますます募っていく。


同性とのセックスもまた、私にとってはひとつの自傷行為なのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る