第2話 人生の話

人生は短い。



私とふたつしか違わない君がまるで人生の大先輩かのように言うものだから、私は少しにやけてしまった。そんなのどうしてわかるのって笑いながら聞いてみた。君は変わらず大真面目な顔で、

「中学のころから今ってあっという間だったろ。これでも十年経っているのにさ。今からもっと時間の感じ方は早くなる。これからの人生において、一番長いのは今なんだよ。」

ふーん。どこかで聞いた話。


君は指を泳がせるように放物線を空に描く。あ、それね、二次関数っていうんだよ。知らないよね。実際に声に出したりしないけれど、心の中でy=x^2が浮かぶ。


それにしても中身があるようで無い薄っぺらい話だ。結局何が言いたいのかよくわからない。けれども私は、なんだかすっかり感動してしまった。惚れた男には女なんてみんな、こんなもん。

こうして、小説さえ書いてしまうのだから。

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