第2話 人生の話
人生は短い。
私とふたつしか違わない君がまるで人生の大先輩かのように言うものだから、私は少しにやけてしまった。そんなのどうしてわかるのって笑いながら聞いてみた。君は変わらず大真面目な顔で、
「中学のころから今ってあっという間だったろ。これでも十年経っているのにさ。今からもっと時間の感じ方は早くなる。これからの人生において、一番長いのは今なんだよ。」
ふーん。どこかで聞いた話。
君は指を泳がせるように放物線を空に描く。あ、それね、二次関数っていうんだよ。知らないよね。実際に声に出したりしないけれど、心の中でy=x^2が浮かぶ。
それにしても中身があるようで無い薄っぺらい話だ。結局何が言いたいのかよくわからない。けれども私は、なんだかすっかり感動してしまった。惚れた男には女なんてみんな、こんなもん。
こうして、小説さえ書いてしまうのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます