魔法少女はホワイト案件?
にしき斎
魔法少女はホワイト案件? (前編)
容姿に自信がない……。
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「あやしいです」
思わず口に出してしまうほど、怪しさ満点なアルバイトの募集でした。
最近世間を騒がせている闇バイトと称する犯罪行為への勧誘でしょうか。
でも、ちょっとだけ気になってしまったのは私の偽らざる私の本心です。
私の名は、佐藤 芙蘭(さとう ふらん)と申します。
苗字はありきたりだけど、名前だけはという親心だったみたいだったですけど……。
見た目とその発する雰囲気も相まって、陰口を叩かれること多々でした。
芙蓉(富士山)の芙に胡蝶蘭の蘭『花じゃなくて腐葉土の腐と腐乱死体乱で腐乱だねー、ぷーくくく、』とかふざけてんじゃねー!
とか言えればどれだけ良かったか……です。
容姿×、性格は気弱で陰気、名前負けの19歳の三流大学の一年生(しかも一浪)で、地方都市から東京に出てきて一人暮らしの女子大生がこの私です。
一人暮らしとはいえ、親の仕送りだけでは生活できません。
ということで何か良いバイトがないかと、ネット検索をしていました。
(あ・や・し・い)
昨今叫ばれている闇バイトと称する犯罪行為への勧誘でしょうか?
ブラウザを閉じようとしていたところ、とある文面に目を惹かれたので思わず手を止めてしまいました。
ちょっとだけ、ちょっとだけ気になるから確かめてみます。
ほら、コスプレしてなんかイベントとか出るやつかもしれないですし……。
コスプレならむしろ歓迎、自分のイケてない容姿を覆い隠せますから。
身分証を要求されたり、秘匿通話アプリとか入れさせようとしてきたら断ればいいんです。
(ポチっとなです)
ご応募ありがとうございます!
条件審査の上、追って連絡させていただきます。
イベント発生をお楽しみに!
「はい?」
思わず、声に出してしまいました。
何ですか、これ?
確かに、身分証を求められたり変なアプリ入れさせられたりはしませんでしたけど、特にやり取りがある訳でもなく一方的なメッセージだけで終わっていました。
こちらの名前すら告げてないのに審査とかどうするのでしょうか?
(ああ、イタズラの類ですか……)
イベントとか、自分の考えていたワードと一部被った気がするけどたまたまでしょう。
そうですよね、そもそも魔法少女とか怪しすぎですもんね。
さて、そうなると別のバイト探さないといけませんね……。
でも、今日はもう疲れました。
アルバイト探しは、明日にして今日はもう寝ることにします。
翌朝。
一限の講義が入っていたので大学に向かいます。
アパートからほどない住宅街の曲がり角、そこでイベントが発生しました。
「いたた……」
角の向こうに人がいたみたいで、ぶつかって尻もちをついてしまいました。
「大丈夫ですか?」
優し気な男の人の声が聞こえてきます。
これはもしかして、お約束の恋愛イベントではないでしょうか?
相手はイケメンの男性で……そんな淡い期待を胸に顔を上げました。
「大丈夫で……」
返事の途中で固まります。
自分の予想と合っていたのは、男性という部分のみでした。
中年、頭髪薄い、横に大きな体型と付き出たおなかにトレンチコート(のみ)を着た、いわゆる変質者だったのです。
イケメンとの出会いという淡い期待は裏切られ、一転して危機的状況に陥りました。
「へ、変質者……」
思わず声に出してしまいました。
それに対して帰ってきた返事がこうです。
「大丈夫ですよ、履いてますから」
確かに、この男性はトレンチコート下に下着は付けていました。
でも、女性ものの純白のブラジャーとパンティだったのです。
トレンチコートを開くように見せつけてきて『とにかく明るい変態さんだぞ』ポーズを決めてきます。
私の目に入る下着の白の色と同様、私の頭の中も真っ白になりました。
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