strawberry home

なずな

第1話  不安

【side-ありす】



「んっ」


ああ、まただ


無駄な贅肉などいっさい無いたくましい体軀に組み敷かれ


どこまでも優しい愛撫と、わたしの奥深くで徐々に激しさを増していく動きがもたらす快感の渦に


あと一歩で飲み込まれる、ところまで来て


子ども部屋で眠っている娘の泣き声が聞こえたような気がして、プツンと集中力が途切れてしまった


もちろん


もうすぐ4歳になる娘が夜中に目を覚ますことなんて滅多にないのだから


「…どうした?ありす」


安心して彼に身を委ねていていいはずのに


「ううん、なんでもないの」


ふいに


自分でもよくわからない漠然とした不安に襲われてしまうのはなぜなんだろう


そんなことを考えている間にも


「あっ…」


大きな手のひらに包まれた胸の膨らみと、深く重ねられた唇から伝わる熱がかすかに残っていた快感を呼び覚まし


その時を迎えようとしている彼の甘い吐息に呼吸を合わせて、汗ばんだ広い背中に軽く爪を立てた


わたしの小さなくだらない悩みが


彼に気づかれていないことを祈りながら


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