第44話 勘違い
私も水着に着替えて外に出ると
キラキラした目で紅葉さんが待ち構えていた
すぐに「愛華ちゃんきれー!!」と言ってくれる
デザインはよく分からなかったけど
店員にオススメされたクロスタイプの水着を着てみた
「なんだか恥ずかしい」
「え、てか、この前見た時も思ったけど。やっぱり肌とかスタイル綺麗だよね!」
「そう?皆と変わらないと思う」
「いやいや!モデル体型って感じで綺麗!!!」
べた褒めされて少し恥ずかしくなってそっぽを向くと
二先生も水着着て出てきた
あれ、プールの時と違う…全身隠せるラッシュガードの水着だ
「お〜若もんは肌綺麗でよかですな」
「(なんで九州の方弁…?)この前の水着着てこなかったんですね」
「お、聞く?ちょい太ったって話」
「言ったらその水着の意味………ぐーたらしてるからですよ」
「たはは、さーせんさーせん」
その後前もって場所取りしてたシートの所に戻ると
既に四条先生と九十九さんが泳ぎ勝負していた
「お、皆来たな!次は愛華君か先生の番かな!?」
「私そんな泳ぎ得意じゃないですよ」
「私もパース」
「はいはーい!あたしやるーーー!」
「四条先生体力バケモンだろ……忍先輩水くれ…」
「あはは、一色ちゃんお疲れ様」
それから紅葉さんが泳ぎで四条先生に勝っちゃったり
麗奈先輩と四条先生もほぼ同格で先生が勝ったりして少し盛りあがった
ピーチバレーも、泳げない忍先輩が無双し始める
麗奈先輩も丁寧にアシストして隙が無さすぎる
私達2年3人はボロボロだった
「エッグ、今の取れるかよ」
「どんまい一色ちゃん!」
「ちょっと私本気出す」
「おお、気をつけろよ」
そして私が本気出そうとしたけど
バレーやった事無さすぎておでこにボールが直撃する
「大丈夫か神楽さん!?すまない!」と麗奈先輩が心配の声をかけてくれる
「だっせ〜」と観戦しかしてない二先生が煽るのでボールをぶつけてイライラを発散する
ようやく一通り遊び終わって
一休憩挟みがてら皆の飲み物を買いに私が代表で向かった
屋台はかなり並んでてしばらく待ちそうだ
もう1人誰かと来るべきだったかな……と思ってると
後ろから「げっ」と声が聞こえる
振り返ると財布持った榎木さんがいた
「榎木さんも飲み物?」
「は?……そーだけど」
「ここ最後尾だよ」
「……そんなの見りゃ分かるし」
こちらを見ようともせず、少し距離を空けて並ぶ榎木さん
山登りとかもしたけど、やっぱりまだお互い慣れないな
私も気まずくて、屋台の方に向き直す
すると横からサングラスかけた男三人が私を囲みだした
「お姉さん1人?」
「え?……まあ今は」
「飲み物なら上げるから俺らと遊ぼうよ!」
そこまで言われて、ナンパされてる事に気づく
え、どうしよう…やんわり断るか
「いや、今は一人なんですけど、友達と来てて……」と伝えると
「じゃあその友達も呼んで皆であそぼうよ!」と中々引いてくれない
「ちょっと!邪魔なんですけど!」
困ってると、榎木さんが男を無理やりどかす
男は明らかにイラついたが、榎木さんを見るなり
すぐにさっきの腑抜けた顔に戻る
「お、ねーちゃんも可愛いじゃん!なに?一緒に来たいの?」
「はあ?僕があんた達と?クヒヒッ片腹痛いわ。あんた達みたいな間抜けな顔のヤツ、死んでもごめんよ」
「んだと!?」
「怒らせちゃった??ごめんなさ〜〜〜い」
ここまで口論が続くと、少しだけ周りから目線が集まる
それに気づいたのか、男達はようやく引き始めた
「こいつ……もう冷めたわ、こんな性格ブスに声掛けたのが悪かったな」
男達はようやくどこかに行ってくれて
少しだけホッとする
「ふん!僕より先にこんな奴を声掛けた腐った目してる奴に言われたくないね!」
「あの……榎木さん、ありがとう。追い払ってくれた…よね?」
「勘違いしないで、並んでる所に群がると買うのが遅くなるって思っただけだし」
榎木さんは相変わらず私の方を見てくれないけど
助けてくれることに凄く驚いた
中学の時も、口が悪かったけど
意図が読み取れなかっただけで、優しかったりするのかな…
「ほら、前空いたから、さっさと詰めてよ」
「あ、うん、ありがとう……あの…………榎木さんの水着、凄く似合ってる。私より断然可愛いよ」
「はあ!!!??!?あったりまえでしょ!馬鹿なこと言ってないで早く行きなさい!」
褒めてみたけど、少し照れてるようにも見えて
私は思わず少し笑ってしまい
並んでる間、「何笑ってんの!?」とずっと怒られるのであった
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