第41話 先生の日常
【二先生視点】
『ピピピピ!ピピピピ!』
「ふぁ……あ〜………ねみぃ〜〜〜」
朝6時半、二翠は起床する
目覚ましを止めて二度寝を決め込もうとする
『ポケポケ♪』とRein通知来て片目だけ開けてスマホをつける
『おはようございます。今日も二度寝しないよう頑張って下さい』
愛華のおせっかいReinを見て
『ねみぃ』とだけ返信して、仕方なく体を起こす
とりあえずタバコに火をつけて咥えてから
外に出て今日捨てるゴミをまとめて
朝ごはんのパンを食べコーヒーを飲む
そしてまとめたゴミを持って7時には家を出る。これが二翠の朝
「お疲れーす」
職員室に入って、少ない教員たちに挨拶を済ませ
自分の席に座ってコーヒーを入れる
「おはようございます二先生!毎日出勤ご苦労さまです!」
毎朝声をかけてくるのは日焼け跡が目立つ体育教師
四条(よじょう) 睦美(むつみ)先生
自分より年齢は1個下だけどほぼ同期なので気軽に声をかけてくる
「おーおはようございます〜相変わらず元気すね〜」
「当たり前ですよ!元気が取り柄なので!」
ニカッと眩しい笑顔で返答してくれる四条先生に
たははと軽く笑い返して自分の業務に戻る
今日は夏休み明けのテストの問題編集
後はバスケ部に顔だして〜紅葉と麗奈が今日学校に来てるから顔だして〜
……だりぃ〜〜〜〜
「二先生〜〜!補習終わりました!見てください!」
紅葉が職員室に入ってきて用紙を見せる
こいつは頭が悪すぎるので、最低5日学校来させないと
退学になりかねないので一番世話をしないといけない
自分から教室に行く予定だったけど
案外早かったな
「お〜……まあいいんじゃね?今日は帰っていいぞ」
「やったー!あ、明日皆で海ですけど来れますか?」
「忘れてた、多分行く」
「絶対ですよ!そういえば一色ちゃんに呼ばれたんだった!ではまた明日〜!」
職員室なのに全員に聞こえるレベルの大声でそのまま走り去っていく紅葉
「廊下走んなよ〜」と軽く言うだけ言った後
すれ違う様に麗奈も入ってきた
「あ、二先生。今お時間大丈夫ですか?」
「別に私にはそんなかしこまらんでも」
「い、いえ、先生ですので……あの、ここなんですけど」
麗奈は推薦に受かるために殆どの時間を
課題と勉強に回している
本当は愛華達と遊んでたいだろうに
「知らね」
「え?」
「今日明日は仕事あんまりしたくねえから、また今度な」
「い、いやいや、困りますよ!」
「そういや、さっき紅葉が一色のとこ行ったぞ。愛華いるかもな」
「え……そ、それがなにか……」
「今日明日くらいさ、休めや。あと夏祭りの日もな、高校最後の夏休み殆ど友達と会えないとか一生後悔するぞ」
「…………わかりました。ありがとうございます」
ふい〜これで暫く仕事が降ってこないだろ
我ながらサボり方がお上手
え?バスケ部?あー行けたら行く
「あ、二先生!お疲れ様です!少し空いてますか!」
ようやく背もたれに全体重を掛けたタイミングで
四条先生が部活から帰ってきた
うげ、なんでどいつもこいつも、という顔をしてみるけど
四条先生は全く気づいてない
「実は体育倉庫の中の部品が足りなくて…買い出し付き合ってくれます?」
「なぁんで私が」
「教頭とかに言ったんすけど、どうせ二先生が暇だろうって」
あんのハゲころ…………んん゛っ!
おっと危ない、ポロるとこだった
「ん〜〜〜」
「あ、そのまま早上がりする許可も取り「行きましょう。ええ、今すぐ行きましょう」
四条先生が言い終わる前に私はその誘いを承諾し
目にも止まらぬ速さで支度をする
「うお、流石の動きっすね!その動きを是非うちのサッカー部で活かしてみませんか!?」
と訳の分からない誘いもしてきたが無視した
店に入ってすぐ私はメモにあった物を全て取り
すぐに会計を済ませようとする
なぜなら四条先生が色んな部品を見たくなるからだ
「おお!新しいスポーツウェアが出てる!」
ほら出た
「あの、もう全部揃いましたけど」
「え?早くないですか!?」
「いや、貴方にしょっちゅうお願いされるから殆ど場所覚えたんすよ」
「流石!その物覚えの良さ、憧れるなぁ✧︎*。」
憧れ……ねぇ
何故かこんな私を四条先生は憧れている
やる気なくサボりしかしてない私の何処か良いんだか
ま、先生に憧れるってのは、分からんでもないな
私だって昔は……
「あれ?あそこにいるの愛華君じゃないですか?」
と、しれっと私が買い物済ませると四条先生が指さす
そこにはいつもの愛華達5人がご飯食べていた
相変わらず仲良しで……邪魔したるか
「おーお前ら〜ゲーセン寄ってねぇか〜?」
「二先生……寄ってませんよ」
「あ!二先生に四条先生だ〜〜!こんにちは〜!」
「こんにちは皆!随分と仲良しだね!いいなぁ〜!」
「珍しいな、二先生が誰かといんの」
「付き添いに決まってるだろ〜」
各々が何気なくしたい会話をし始め
ちらっと3年二人を見ると、楽しく会話はしてる
……なんか忍の笑顔がどことなく暗いが
ん〜〜明日海の時何気なく聞いておくか
てか、愛華不貞腐れてね?
また紅葉のやつなんかしたか?
「じゃあ先生達は戻るな!また!」
そんなこと考えてると急に手を掴まれ
少し強引に引きずられる
なんだなんだ急にどうした、と思ってると
神妙な面持ちで私に向き直す
おっとこれは四条先生も気づいたか?
「二先生………………もしかしてあの中に好きな人とかいます…?」
「……なして?」
「いや……なんていうか、最近話題なんですよ。二先生が特定の生徒とかなり親しくしているって……」
あ〜屋上に行ってるし、愛華なんて毎日会話してるから
そんな噂流れてもしゃあないか
……あ〜誤解とくのもめんどくせー
「まあそうかもっすね〜でもそれ四条先生になんか関係あります?」
「え!?あ、あ〜確かに〜」
確かに、じゃなくて生徒と先生の恋ダメとか
そんな話をする訳でもないんかい
何が聞きたかったんだ?
ま、聞いたらめんどくさいことなるかもだし
きかないでおこ
「そういえば、早上がりしていいんでしたよね。部品は先生に預けときますね〜ではでは〜」
「え!?ちょ。まだ話終わってないっすよ!!?」
四条先生が何か言ってるのを無視してそのまま私は帰った
帰って速攻風呂に入り、「あ゛〜〜」と疲れを吐き出してから
すぐにベットに入って就寝した
『一方その頃……』
「ん〜〜やっぱり言わないと思い出してくれないなぁ〜あの時の事……あんなに記憶力いいのになんで思い出してくれないんだろ、言い出せない私も私だけど……どうすれば……そういえば、紅葉君が二先生に海誘ってたような…」
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