第40話 やっぱりキツイな……
【一方、流と別れた後の一色視点】
流と別れてから
ウチは忍先輩とデパートにいる
『あんたは……好きな人とかいないの?』
とかウチが聞いたら
手伝って欲しいことがあるとか言われてはぐらかされた
そして何故か水着コーナーにいる
「ね、ねぇ、どっちがいいかな……?」
忍先輩が2つの水着を取ってウチに見せる
「どっちもダサい」とだけ伝えて
「え〜分かんないよ〜!」と半泣きしながら次の水着を探す
手伝って欲しいことって水着選びかよ……
つか、水着選びならウチじゃなくて麗奈先輩や紅葉の方がいいよな
「あのさ、こーいうの選ぶのは麗奈先輩の方がいいんじゃねえの」
「麗奈忙しいし、こういうの詳しそうかなって」
分からんでもない言い訳されて
小さいため息をついて忍先輩の水着選びを少し遠目で見守る
そーいや皆で海行くの明日か、ウチも選んだ方がいいかな……
こういうのは紅葉の方が分かってそうだし、呼んでみるか
とReinを開いて、数時間ほど未読無視してた紅葉のアカウントを開く
かといって勝手に呼ぶのもあれか…?
「これとかどうかな?」
ちょっとデパート来れる?とだけ書いて送るのを悩んでたら
急に声をかけられて思わず送信ボタンを送る
やべ、と思いつつも忍先輩を見ると
またダサそうな水着を持ってきた
「よくそんなダサそうなもの見つけてくるな」
「えーこれもダメ?難しいなぁ」
「あんたの私服、普通に可愛いのになんでこういうのは選べねえんだよ」
「え?あーこれ?これも麗奈が選んでくれたもので…私バスケしかして来なかったから分からなくて……」
分からなくてとかいう次元じゃない気もするけど
……つか、そもそも
「それサイズ合ってなくね?」
「え?そーなの?」
「そうなのって、自分のサイズくらい把握しとけよ」
「ずっと身長伸びるから分かんないんだよね〜」
身長の話じゃねえ…とは思いつつも
店員を呼んでサイズを図らせる
流石に見てる訳にもいかず
その間スマホを開くと、『今行く!((((っ`・ω・)っ』というメッセージが届いてた
すぐ返信きてるし、どんだけ暇なんだよあいつ
いつも未読無視してる奴の頼みすぐ聞く辺り、相変わらずアホだな……
「お待たせ一色ちゃん、なんかいいことあった?」
「あー……別に。紅葉が来るって」
「え、なんだか悪いことしたなぁ。でも嬉しそうだね」
「……手伝わねえぞ」
「あはは、ごめんごめん」
紅葉を待ってる間、この辺と言われたサイズの水着を軽く見る
このサイズでも意外といいのあるじゃん
なんでわざわざ無地だったりダサいの選んでるんだ…?
「こういうフリルがあるやつ着れば自分のサイズ誤魔化せたりするぞ」
「ええ?それ可愛すぎないかなぁ」
…………なるほどな
「あんた、ファッションが分からないんじゃなくて、可愛いの似合ってないと思ってるだけだろ」
「え…………そ、そんなことないよ」
「いいから着ろ」
「あ、いたいた一色ちゃーん!」
忍先輩を強引に試着室に入れると
不意に後ろから声がして振り向くと
紅葉と愛華、麗奈先輩までいた
「なんか多くね」
「あ、そこで会ったんだ!ね!」
「まあ強引に」
「私も偶然学校帰りで2人に会ったんだ」
愛華が少し不貞腐れてる所を見ると本当に強引に連れてきたな
「れ、麗奈に愛華ちゃんまで……大所帯になっちゃった」と忍先輩が小声で言いながら試着室から顔だけ出す
「忍?そこで何してるんだ?」
「あ!いや、えっとぉ……」
ウチは無理やりカーテンを開けて3人に水着姿を見せる
…やっぱり似合うじゃん
「え、先輩可愛い〜〜〜!」
「似合ってますよ」
「あぁ、すごく似合ってる」
怒涛の褒め言葉に凄く赤面しながら
少しずつまた試着室の中に隠れようとする
どんだけ恥ずかしいんだよ、全く
「にしても、九十九さんが忍と一緒だなんて珍しいな?」
「あーうちらもたまたま会ったというか」
「てゆーか明日海だったね!あたしもここで水着買おうかな〜!」
「まだ買ってなかったの…?」
「愛華ちゃんは買ったの?」
「まあ、一応」
「やっぱり楽しみにしてるじゃ〜〜〜ん」
「うるさい」
相変わらず仲のいい二人の会話を聞きながら
ちらっと忍先輩の方を見ると既に着替えが済んでいた
「あれ、その服、着てくれてたんだな」
「麗奈にみせたこと無かったっけ?」
「初めて見たぞ。やっぱり忍はなんでも似合うな」
「もうやめてよ、そうだ、みんな集まったしどこが寄らない?」
「さんせーーー!」
「ちょっと待て、あんたさっき馬鹿みたいに食べてただろ」
「そ、それは別腹だからいいの!」
結局好きな人とかも全てはぐらかされたけど
ま、楽しそうだしいっか、と流してしまった
「はぁ………やっぱりキツいな…」
【お知らせ】
次回以降、火木土曜日に投稿頻度が変わります
よろしくお願いします
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