第31話 夏休みはもちろん愛華ちゃんと!
『今回は愛華視点です』
期末テストがようやく終わり
殆どが平均点よりちょい上くらいを取れた
紅葉さんも赤点は何とか回避したみたいで
凄く安心した
「夏休みどこ行く!?遊園地?夏祭り?海?山?色々行きたいよね〜〜!!!」
紅葉さんは赤点回避がそんなに嬉しかったのか
私に一方通行で夏休みの計画をしていく
返事する間もなく予定がどんどん埋まっていく様は
なんだか新鮮で面白いのでそのまま任せることにした
……それでも量が多いな
「あのさ、それ少しくらい減らさない?全部行くの?」
「えー900時間も休みあるんだよ?大丈夫だって!」
そういうことじゃないし
時間換算で夏休みのこと言う人初めて見た、と言うと
紅葉さんはさっきまでのテンションが一気に下がって
プクっとふくれっ面になる
けどすぐに何か思いついたのか
ニマァと少し気持ち悪い笑顔に戻り
スマホいじって何一つ聞いてない九十九さんの方に行く
「ねえねえ、一色ちゃんも予定ないでしょ?今度『2人』でおでかけとかもしてみようよ!」
その言葉に思わず私はピクリと耳を動かしてしまう
「はあ?なんでウチがお前なんかと」
「愛華ちゃんはあんまり一緒も嫌なんだって、ね?ね?良いでしょ?」
私からは紅葉さんの表情は見えないが
多分紅葉さんは九十九さんに
OKサインして!って意味のウインクをしてる気がする
「あー……まあいいけど」
「やったー!デートだね!」
「なんだ急に、キモイぞ」
「えぇー!ひっどぉーい!」
「…つーか、先輩達とか、保健室組も呼べばいいじゃんかよ」
「それもそうだね!愛華ちゃんは行かないみたいだし、誘ってみよーか!」
そこまで会話して
私は少し紅葉さんの制服の裾を引っ張る
振り返った紅葉さんの顔はかなり憎たらしいニマニマ顔をしてる
…悔しい…紅葉さんの思いどおりの動きをしてる自分が
「ちゃんと全部行くから……仲間外れにしないでよ……」
恥ずかしすぎて、ついつい髪の先をいじってしまう私がいる
この癖、治そうとしても治らない……
「んもぉ〜冗談だよ〜!相変わらず照れ愛華ちゃん可愛い〜〜〜〜♡」
「…何だこの茶番。つか、お前ら仲良くなりすぎじゃね?何かあった?」
「んんー?一色ちゃんには内緒ぉ〜」
「こいつまじでぶん殴っていいか?」
「いいよ、私が許す」 「よっしゃ」
「きゃー!調子乗りすぎましたごめんなさい〜!」
【数時間後、昼休み】
「こ、これは……凄い量だな」
紅葉さんが作った予定表を先輩二人と先生に渡してみると
その量の多さに麗奈先輩は少し引いている
隣にいた忍先輩と先生も乾いた笑いをする
「こ、これ、愛華ちゃんと一色ちゃんも承諾したの?」
「はい!強引に!!!」
「さ、流石だね紅葉ちゃん」
「お前さ、私は仕事あるしこいつらは受験生なの忘れてねぇか?」
「3人なら大丈夫だと思ってます!!!!!」
「うっせ〜めっちゃごり押すじゃんこいつ〜」
受験生……そうか、夏休みはまだ大丈夫らしいけど
今後もっと忙しくなっちゃうのか
「うーん、まあ部活も生徒会も7月末には世代交代だし、私は大丈夫だよ」
「そうだな、せっかく最後の高校生活だ、頑張って予定を開けるよ。まあ流石に全ては無理だろうが…」
「やったー!じゃあ先生もよろしく!!!」
「マジか…何とかしてみっけどさぁ〜」
先生はケータイをポチポチといじって
予定表とにらめっこをして頭を搔く
私はソロ〜っとゆっくり先生の隣に座って話しかける
「あの、手伝えることあればしますけど」
「うお!?急に耳元で話しかけんなよビビったぁ〜」
「す、すみません、皆で遊ぶの、楽しみで……その、先生もいたらと思って……えと……」
私が本音で伝えようとしどろもどろにしてる姿を見て
また爆笑されると思いきや
何故か顔を赤くしている
「お、おう、まあ…そんとき頼むわ」
何だか、風邪の後から先生はおかしい
やけに私達と一緒にいるから
友達いないから寂しいとか……失礼すぎるか
「よし!じゃあ決まりですね!夏休み最初は肝試しするんで、皆さん軽装でお願いします!!」
…………ん???
肝試し????
「おいこら待て」
「どうしたの一色ちゃん」
「そんなのどこにも書いてねぇだろ」
「え、だって承諾得てからじゃないと皆逃げちゃうかなって」
「ふざけんな!愛華なんて驚いて固まってるぞ!?」
「えー?皆来てくれますよね、だって大丈夫って言いましたもんね♪」
この時だけは
紅葉さんのことを嫌いになりかけた
【おまけ 保健室組】
流「早乙女先輩から夏休みの予定表が届きました」
凪「お、皆説得するって息巻いてたけど、本当にやったんやなぁ」
雪「夏祭りとか海とか……いっぱいある、楽しそう」
流「でも雪乃さんは全て参加出来るでしょうか……?」
雪「うーん、海も山も体力的に厳しいけど……祭りとかお泊まり会はしたいな」
凪「ほなその2つは丸つけとくな」
流「あ、これは強制参加!というものが増えましたよ」
凪「肝試し……?アカン、ナニカイテルカワカランワァ」
雪「面白そう……」
凪「アタイハヤスム……ヤスムンヤァ」
流「凪さんが壊れてしまった……肝試しは面白そうなので是非参加しましょう」
凪「オニヤァオニガオルゥゥウ」
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