会話

玄緑澄

第1回 まあい と めう

まあい「特に意味ないわ。私の発話は。」

めう 「こうして話していないのもどうにも暇なのよね」

   「そうよそうひまなんですもの」

   「おきているのがこんなに楽なことで」

   「眠りに落ちるのがこんなに簡単にできるものではないなんて」

   「なにかが反転したようね」

   「そうなのよ」

   「不眠ってわけではないのよ、むしろ快眠なのよ」

   「見るからに快眠、からだもいたくない」

   「前はとっても眠りが深かったの、本当に深かったの時間も長かったわ……でも」

「時間も短くて眠りも深くは感じない今の方が快眠といいたい気分になるの」

「本当にふしぎなのよ。」

「ええ不思議」

「不思議よね つかれていたのよ。まえは」

「今思うとつねにからだぢゅうが痛んでいたんだわ」

「些細な入力も痛みを感じる信号にかわっていたのよ」

「その中で自分として生きるには」

「とてつもない理性と悟性が必要でしたの」

「いまはなにもない。私の生活の範囲に」

「隕石のような危険はあっても、白線を超えるような懼れはないの」

「今までのあるわたしをそとからみれるようになったのよね」

「そうなの今までもみれてはいたのよ、しかしともなってもいたの」

「いまはそこに手を取り合ったり、仲裁したりができるようになった」

「そう、なんというのかしらね冷静になったといっておきましょう」

「それが一番伝わるわ。伝えようとするよりも伝わってしまうものに託しましょう」

「わたしたちおしゃべりなのに、どうも言葉足らずなのよね」

「そうね。そうよね。ただない言葉はしゃべれないもの」

「言葉はあっても私たちの中になければ、しゃべれないものね」

「これは難しい話でもあるの、だって解決出きたら」

「歴史が生まれないものね、今の形の」

「そうなのだから、おもしろいのよ」

「そうね、おもしろいわ」

「今日はここら辺にしておきましょうか」

「そうね他にやりたいこともおもいついたし」

「お昼休みもおしまいね。それでは」

「ごきげんよう」

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