神米の正しい食べ方という書物を発見する
神殿の中で、僕たちはさらに慎重に周囲を調べていった。先程見つけた書物には、米が不安定な作物であること、そしてその不安定さが神殿の力に起因していることが記されていた。それにしても、神殿に眠る知識はまだまだ多く、どこかに解決の手がかりが隠されているはずだ。
「どうしようか、もう一度書物を探してみようか?」とミナが僕に尋ねる。
僕は少し考えてから頷いた。「うん、確かにもう少し調べないと。もしかしたら、正しい食べ方について記されている本があるかもしれない」
僕たちは神殿の隅々を探しながら、見落としがないか確かめた。今まで目にしたことのない書物が並ぶ棚の一角に、もう一冊異様に目を引く本を見つけた。その本は、他の書物よりも新しく、表紙に金色で「神米の正しい食べ方」と書かれているのが見えた。
「これ、見て。『神米の正しい食べ方』って書いてあるわ」とミナが興奮気味に声を上げた。
僕もその本に引き寄せられるように近づき、表紙を見た瞬間、その中に何か重要な情報が含まれている予感がした。手に取ると、ページは少し固くて、少しだけ湿ったような感触があった。まるで長い時間を経て、この本が守られてきたことを物語っているようだった。
「さっそく中身を見てみよう」と言って、僕は本を開いた。
最初のページには、米に関する基本的な知識が書かれていた。そして、それを食べる際の注意点が細かく記されている。僕はその内容を一つ一つじっくりと読んでいった。
「どうやら、神米には強いエネルギーが込められていて、そのまま食べると体に負担がかかるみたいだ」と僕は、少し読み進めてからミナに説明した。
「負担がかかるって、どういうこと?」とミナが尋ねる。
「例えば、急激なエネルギーが体に流れ込むことで、体調を崩す可能性がある。それが原因で、村の人たちが不調を訴えているのかもしれない。でも、この本には、正しい方法で食べれば、そのエネルギーをうまく活用できるとも書かれている」
「うまく活用するって…どうやるの?」とミナが不安そうに聞いた。
僕はそのページをさらにめくる。すると、神米を食べるための方法が詳細に書かれていた。米を食べる前に、まず神殿で供物として奉納する儀式を行うことが必要だと記されている。そして、奉納後に神殿からの「祝福の儀式」が行われ、その後に米を調理して食べると、体内に流れるエネルギーが安定し、健康にも良い影響を与えるという。
「なるほど、この儀式を経て、米のエネルギーを調整するんだ」と僕は理解した。
「つまり、米をそのまま食べてはいけないってことね」とミナが納得した様子で言った。
「そうだね。どうやら、この儀式を行うことで、米の力を無理なく受け入れることができるらしい。でも、儀式を抜きにして食べてしまうと、逆に体がそのエネルギーに耐えられなくなってしまう」
「それなら、私たちが村人に教えてあげるべきね」とミナが言った。
「うん、でも、この儀式を実際にどう行うかが問題だ。書物には儀式の概要は載っているけど、詳細な手順は書かれていないんだ」僕は少し悩んだ。
「それなら、神殿で祈りを捧げて、神の導きを求めるしかないんじゃない?」とミナが提案した。
僕はその提案にうなずきながら、再び書物を開いた。ページをめくると、次に目に入ったのは「儀式の注意点」だった。それによると、儀式を行う場所や、神殿内で使用すべき特別な道具なども記されており、それらを準備することが必要だった。
「どうやら、儀式には神殿の中で特別な場所が必要で、そこに特定の道具を揃える必要があるみたいだ」と僕は読み進めながら言った。
ミナは真剣な表情で僕を見つめ、ゆっくりと頷いた。「じゃあ、早速その準備をしようか。村の人たちのために、きっと必要なことだわ」
僕は深く息を吸い込み、決意を新たにした。この神米の問題は、ただの農作物の話ではない。村人たちの健康に関わる重要な問題だ。そして、この儀式を成功させることで、村全体に平穏な日常が戻るかもしれない。
「よし、準備を始めよう」僕はミナと共に、新たな決意を胸に、神殿の奥深くへと進んでいった。
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