神殿に行くと新しい書物があった
神殿への道を歩きながら、僕とミナは互いに言葉を交わさず、ただその先に待ち受けるであろう答えに思いを巡らせていた。作物のこと、米の不安定な状態、そして神殿に潜む秘密。これらの謎が、僕たちをここまで導いてきた。
神殿に到着したとき、辺りの静けさが一層重く感じられた。今まで何度も訪れた場所なのに、今日はどこか異常な雰囲気を感じる。空気がピンと張り詰めているようで、深呼吸することすらも少し躊躇してしまう。
「ここが、あの神殿か…」とミナが呟く。
「うん。前に来たときは、こんな感じじゃなかったけど…」と僕は返事をした。
慎重に神殿の扉を開けると、いつもと変わらぬ内部が広がっていた。しかし、足を踏み入れた瞬間、僕の視線が引き寄せられる場所があった。これまで見落としていた棚の隅に、今までなかった新しい書物が置かれていたのだ。
その書物は、見た目からしてただの古書とは異なり、どこか神聖なオーラを放っていた。表紙には何かの紋章が浮かび上がっており、手に取るとわかるほど、その表面から僅かな熱を感じる。
「これ、今までなかった本だよね…?」とミナが近づいてきて、書物をじっと見つめた。
「うん、確かに。こんな本、見たことがない。誰かが最近置いたのか、それともこの神殿自体に新しい知識が現れたのか…?」と僕は考え込む。
僕は迷わずその書物を手に取った。表紙をめくると、そこには奇妙な文字が並んでいた。見たことのない文字で、けれどどこか懐かしいような感覚を覚える。僕はその文字を目で追いながら、少しずつその内容を理解し始めた。
「これは…古代の魔法に関する書物だ。しかも、特定の作物や植物について書かれている」と僕は驚きながら言った。
ミナもその内容に興味深そうに目を輝かせた。「それって、私たちが見つけた米に関係があるのかしら?」
「おそらく、この本の中には、神殿に関連した作物や植物が記されているんだと思う」と僕は答えながら、さらにページをめくった。
ページを進めるごとに、その内容は次第に深刻になっていった。どうやら、この書物には「不安定な作物」として記された植物がいくつか存在しており、その中に今見つけた米のことが書かれているようだった。どうやらその米は、神殿の力によって育てられた特異な作物であり、その成長には神殿からの「祝福」が関わっているらしい。
「でも、この米を食べることが必ずしも良いことではないみたい」と僕は、ページの内容に目を通しながら言った。
「どういうこと?」とミナが不安そうに聞いた。
「この本には、米の食べ方や使用方法に関して警告が書かれている。生で食べると、体調を崩す可能性があるだけでなく、その米には異常なエネルギーが含まれているみたいだ。それが体内に入ることで、何らかの力が発動するかもしれない」
ミナはその言葉に驚き、手を口に当てて考え込んでいる。「それって、今の村の人たちが体調を崩している理由と関係があるかもしれないね」
「間違いないかもしれない」と僕は頷いた。「この米が村に広がっていたら、今の事態の原因がこれだと確信できる」
「じゃあ、どうすればいいの?」とミナが不安そうに聞いた。
「まず、この書物に書かれている通り、米を食べないように警告する必要がある。そして、神殿の力を正しく使う方法を探さないといけない」と僕は決意を込めて言った。
その瞬間、僕は強い責任感を感じた。もし、村の人々がこの米を食べ続けることがあれば、予期しない事態が起こるかもしれない。けれど、どうすればこの問題を解決できるのか、そしてこの神殿の力をどう活用すべきなのか、それを見極めることが重要だ。
「じゃあ、もう少しこの本を調べて、解決策を見つけよう」と僕はミナに言った。
「うん、わかったわ。急がないとね」ミナは力強く頷いた。
僕たちは再びその書物を読み進めながら、神殿の中で一つ一つ謎を解いていくことを決意した。
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