第20話 マーリン、魔法学校へいく
今日は魔法学校に挨拶にいく日だ。
王様からは理事長をやってくれと頼まれたが、果たして何をしたらいいのだろうか?
魔法は使えないし、当然魔法は教えられない。
一応、いろんな大臣など、偉い人たちに話を聞いてみたところ、一様に、
「マーリン様のお好きなようにやっていただいて大丈夫。楽しみにしていますよ。」
とのことで、謎に私への信頼が重すぎる…
そんなことを考えていると、
執事のセバスチャンが私を呼びにきた。
もう出発の時間のようだ。
「ミラ、行ってくるよ。」
「いってらっしゃい、あなた。」
ミラが微笑みながら見送ってくれる。
「「「「いってらっしゃい。」」」」
と子どもたち。
よし、覚悟を決めていってくるか。
ひとまず、校長や先生たちに話を聞くところからだな。
そう思いながら、馬車に乗りこんだ。
……
「旦那様。間もなく到着ですよ。」
馬車のなかで揺られながら、
うとうととしている間に、
魔法学校に到着するようだった。
馬車の窓から外を眺めてみると、
やはりというか、
魔法学校は、自分が想像していた以上の大きさであった。
学校というか、1つの街だな。
そう思っていやに大きい校門をくぐると、
異様なまでの光景が広がっているではないか。
熱烈な歓迎である。
賢者様ー!マーリン様ー!という声や、
歓声がすごい。
校門から学校の敷地に入ったあとも、
しばらく馬車で人だかりのなかをゆっくりと移動すること数分。
1つの校舎の前までくると、既に先生がたが出迎えのために外で待ってくれていたようだった。
忙しいのに申し訳ないなとおもって、
そそくさと馬車から降りると、
「賢者マーリン様、ようこそ。魔法学校へ。本学の校長をつとめております、クラースと申します。今日という日を待ち望んでおりました。我々教師・学生一同、あなたさまを歓迎いたしますぞ!」
と先生がたの中で最も貫禄のある風貌をした、いかにも魔法使いな帽子とローブ、立派な髭の初老の男性が挨拶をのべる。
そしてその後に続く歓声。
物凄い威厳!
物凄いカリスマ性!
きっとこのひとが校長先生なのだろう。
こんな素晴らしい方がいるのに自分は果たしてこの学校でやることあるのかな?
「どうもはじめまして。このたび僭越ながら理事長に就任したマーリンです。こんなに盛大にお出迎えいただいて恐縮です。これからどうぞ宜しくお願いします。」
本当に恐縮しながらひとまず挨拶する。
「かの賢者様が理事長として本校に着任いただけるのです、まだまだ足りないくらいですよ。今すぐにでも、あなたさまの英雄譚をお聞きしたいですし、魔法の真理についても語り合いたい、そんな者たちばかりございます!!ああ、四属性の戦略級魔法の話も聞いてみたいし、無属性魔法についてもぜひとも議論してみたいし…!ぐふふ………おほん。とまあ、立ち話もなんですから、理事長室にご案内します。」
と、さっきまでのカリスマは何だったのかと思うくらい、目をキラキラさせながら、若干顔も紅潮させて、やばい感じな片鱗を一瞬あらわにしたクラースさんを見て、
ああこれは、エレナと同じ人種だな…
と思うのであった。
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