密着、熟練エロスライム24時

犬道(いぬみち)

早朝編

 野犬に追われる野盗をやりすごし、暫くの時間が経過した頃、1人の冒険者が歩いてくるのが見えた。

 軽装の武闘家。打撃に強いスライムにとって、格好の獲物。

 じっくりと相手を観察する。万が一、魔法職の経験があるような事があれば、自分は瞬殺されてしまうのだから。


 「――――」


 水色の髪にぱっちりとした大きな青い瞳、犬耳と尻尾を生やした健康的な少女だった。

 朝に街に到着できるよう、夜に出発したのだろう。疲労と眠気が見える。

 身体を覆う薄い布の服に前掛け。魔法用の装備は一切なかった。


 「ふあ~。あと少しで街に着けるかなあ」


 尻尾をふらふらと揺らし、耳を垂らした覇気のない様子。先ほどの野党に遭遇していたら、彼女の人生は終わっていただろう。


 少女が、丁度真下を通ろうとした瞬間、


 (今日出会ったのがスライムで良かった。彼女にそう思って欲しい――)


 その願いを胸に、木の枝から少女に向かって身体を躍らせた。

 背中に張り付き、まずは両腕を絡めとる。


 「え?ええ?」


 突然の事に少女が戸惑いの声をあげた。

 この時間であれば口を塞ぐ必要はない。

 スライムにしては比較的体積があるが、全身を覆う程の大きさではない。

 優先すべきは足の動きを阻害する事だ。


 「スライム?何で――」


 樹木や地面に叩きつけられる前に足をからめとり、少女を引きずり倒す。見事な軟体捌きだった。

 スライムの神髄。

 上級スライムにすら教えを請われる程に、その動きは洗礼されていた。

 相手を倒してからの動きは決めている。


 「ひゃあっ?」


 まずは服の中に身体を滑り込ませる。これで幾ら相手が転がろうと、剥がされることが無くなる。

 滑らかな少女の肌を伝い、最初に責める場所は――、


 手先と足先だ。

 冒険者とはいえ、最近の若い少女は食を細くしがちである。その結果、体温が低い。

 この犬耳の少女も例外ではなかった。


 「え、なんで暖かいの?」


 体温を高めるため、毎晩炎に浸かっている。冷たい身体でエロスライムは務まらない。

 靴と靴下を脱がし、足の指と指の間に身体を滑り込ませる。続けて指先全体を包み込んだ。


 「あ――」


 ゆっくりとリズミカルに、指をマッサージしていく。

 ぐにぐに、ぐにぐに――。

 少女の指先に血が巡り始め、ほのかに赤みを帯びる。


 次は手の平と足の裏だ。夜遅くまで起き、不摂生な生活をしていると――、


 「いったああい!」


 手足のツボに激痛が走ってしまう。


 「痛い痛い痛い!」


 叫ぶ少女の声を聞いても、スライムは責める事を止めない。

 痛いと言う事は身体に悪い部分があるという事だ。少女の場合は膀胱だろうか。


 「うう――う――うっ!」


 次第に痛みに慣れてきたようだ。痛気持ちいいといったところか。

 少女の体温も少し上がって来たように感じる。


 次は当然――、


 首と肩だ。

 夜、ベッドの上で長時間の読書。冒険者を目指すような少女は必ずと言っていい程、ヒロイックな小説の虜だ。

 街の図書館から借りた本を、仲間内で回し読みしているのだろう。

 頭の付け根から首、肩を同時に刺激する。


 「あっ、ああ――」


 思った通り、凝り固まっている。まるでゴーレムの表皮のように。

 じっくりと長い時間を掛けて揉みしだくと、ゴリゴリとした感触が柔らかくなっていった。

 少女は特に肩の凝りが酷い。

 つまり――。


 経験則ではあるが、確実なものと思える。順番としてはまだ早いが、先に確認する必要があった。


 「え?え?ええっ!?」


 服の中に滑り込ませた身体で、少女の胸を締め付けている布をたくし上げる。

 ぶるんっ!とスライム顔負けの揺れと共に豊満なバストが姿を現した。

 当然前掛けによって外からは見えない。

 武道家という職業上、戦闘中に揺れないよう押し潰していたのだ。

 これでは肩が凝る筈である。


 巨大な質量を下からゆっくりと持ち上げていく。


 「ちょ、や――」


 ボリュームの割に軽く感じる。肉質の問題だろうか。

 とにかく柔らかい感触だった。強い力で包み込んでも、押し返すような感覚が無い。

 まるで春の流水のような――。

 それは、スライムの中でも絶妙な感触を誇る自分自身よりも極上の柔らかさだった。


 人間のメスがそれを持ち合わせている。

 その事実に、プライドが傷つけられた。

 身体が灼熱した。

 何十年ぶりの嫉妬、自分の中の加虐心が目覚める。


 「やあっ!ああ?なんでぇ――!?」


 胸を揉みしだき、更に身体を少女の服に滑り込ませていく。

 少女の耳がピンと立ち、尻尾がバタバタと震える。


 「あっ、あああ――!」


 まだ霞が掛かった朝、山の中に少女の叫びが木霊したのだった――。


□ □ □


 事が終われば、すぐ様に相手からは距離を離す。

 少女の体液から魔力を吸収し、自分自身の朝食も十分に摂取できた。


 「うう、なんだったの・・・」


 涙目で乱れた服を直し、少女は辺りを見回した。

 胸を抑えていた布は上手く巻けなかったようで、前掛けの下から大きな双子山が激しく主張していた。


 そろそろ人が通りかかる時間だろう。


 「でも、気持ち良かったかも――」


 少女はまだ発情しているようだった。獣人系の種族は発情期があるという話だが、今がその時期なのかも知れない。

 だとすれば、もう少し続けた方が良かっただろうか。


 などと思考を巡らせていると、一台の馬車が近づいて来た。

 冒険者達だ。それも、それなりに上位の。


 身を潜める。


 三人の男が降りてきた。

 ナイト、魔法使い、僧侶。攻撃力には欠けるが、バランスの良いパーティだ。


 「キミ、大丈夫かい?調子が悪そうだけど・・・」


 「あ、えっと、少し身体が熱くて――」


 少女は両手で身体を抱え、身悶えをした。

 反らした胸が男の眼前で揺れると、冒険者達の喉が鳴った。


 「だ、だったら街まで一緒に行くかい?」


 「え、いいんですか?」


 鼻の下を伸ばした僧侶の提案に、少女は食いついた。


 「もちろんだよ。すぐ近くだしね」


 「到着したら、まずは――宿かなあ?」


 「そ、そうだな。この子も疲れているみたいだし――」


 少女の瞳は怪しく輝いていた。


 「あ、ありがとうございます。わたしも休みたいなって――」


 微妙な空気のまま、馬車に三人が戻っていく。

 少女は息を乱したまま、馬車へ乗り込んでいった。


□ □ □


 街道を往く馬車を見つめながら、スライムは自分の働きが間違っていなかった事を確信した。

 あの冒険者達は暫くの間、活動が出来なくなるだろう。


 更にメスの取り合いになれば、上級パーティが一つ解散する事になる。

 魔王軍への大きな貢献だった。


 だが、まだまだ自分は修行が足りない。

 あの人間のメスの乳房を超える感触をこの身に宿さなければ。

 熱い誇りと滾る向上心を胸に、エロスライムは次の狩場へ向かう。


 眩しい朝日が、未来を祝福しているようだった――。

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