僕らが一番輝くとき——なんでもない高校生
沼津平成
プロローグ 沼津イースト高校
僕は沼津生まれ、東京出身の高校生。夢はない。強いて言えば、小説家。しかし、それも両親から反対されていた。
そう、本当に言えば僕が入学するこの沼津の名門——イースト高校だって、親の反対を押し切って入学した高校だ。
一応、大学は東京に戻って早稲田の文学部を考えているが、両親からお金は出ないだろう。うっそーん、稼ぐしかないのー?
でもここで「両親ー、せめて1万は!」などとオークションやっている場合ではない。今必要なのは勉強だけだ。いや……もう一つあったな。
さて、僕が在来線だけを使ってやってきた沼津。持ち物は二つ。学校に必要な諸々と、スマートフォン・PC。もちろん高校には持ち込まないぜ。でも——家では使いまする!
「そう、その家なんだよなー、」
僕は大きく伸びをする。三歳んとき作ったある料理を食べた祖母は、苦い顔をしていた。「これ……こ、れ……お、美味しい……のかな?」苦悶の表情が徐々に和らぐ。
少し前までは(そうだろそうだろ、後味がすごいんだ)などと思っていたが、自分で料理を作った時の感想は、「クソまっず!」だった。
そんな僕は、本名を
というわけで今僕はアパートにいる。春なのに扇風機フル稼働。エアコン? そんなものうちにはない。ウィークリーマンションを舐めちゃいけない——アパートだけど。
さて、お隣さんへの挨拶? そんなのはいらない。あくまでウィークリーマンションはビジネスホテルと普通の賃貸住宅との中間を目指しているらしいのだ。
だいたいどんくらいだっけ? 比べるもの二つがかけ離れすぎていて、計算するのに違和感がある。
僕、秋月健は、今、一歩踏み出した。沼津イースト高校へ向けて、長い道のりを歩き始める。だいたい二キロ。生まれた時の家と、だいたい同じところにあるマンションを予約したから。
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