バニーガールナイトとニートの冒険譚 〜ええ!? イチャイチャすると戦車が手に入るんですか?〜
犬ティカ
第1話 異世界
ここは……どこだ?
荒野に放り出されたキヨシは、見覚えのない風景に困惑していた。乾いた風が吹き抜けるだけで、人影はどこにもない。
「なんで俺がこんなとこに……?」
「キヨシが自宅で私に励みすぎたせいで、テクノブレイクしちゃったんだよ。つまり、死亡」
「……誰だ⁉︎」
慌てて振り向くと、そこには見慣れた、いや、見慣れてるはずのない顔があった。そう、喋っているのはダッチ——俺の、ダッチワイフだった。
「やがてキヨシが暫く顔を見せないのを不審に思った家族が自宅を尋ねてね。で、死亡確認されたキヨシは火葬。私はキヨシの遺品扱いで一緒に燃やされちゃったってわけ」
「わっ! 俺の唯一の友だちが喋ってる!」キヨシは驚きと喜びが入り混じったように声を上げた。
「ええ、魂が宿ったみたいで自由に動けるんだわ。ま、そんな扱いされるとは思ってなかったけどね。だいたい、あれだけ毎日毎日激しく励んでたくせに、友だち扱いとか冗談キツい」
「え? そもそも、いつも友達だからダチでダッチって呼んでたろ? 俺の唯一の相棒ってわけで……」
「あー、そういうこと。ふーん」
ダッチは少し不機嫌そうにそっぽを向いた。微妙な空気が二人の間に漂う。
キヨシはその場にじっとしていても始まらないと悟り、ようやく立ち上がった。心細さを紛らわすように、ダッチに声をかける。
「まあ……ここでじっとしてても仕方ねえし、周りを探索でもしようぜ。な、ダッチ」
「ったく、仕方ないな。ま、あんたが一人で途方に暮れるのも目も当てられないし、ついてってやるか」
こうして、俺とダッチの微妙にぎこちない冒険が始まったのだった。
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