刺殺公爵⑦

頭をコツコツとつつかれてる感じがする…止めてくれまだ眠いんだ…眩しいな…もう朝か?


瞼を開け辺りを見回していると記憶も段々ハッキリしてきた…そうか!俺は刺殺公爵に身体をグチャグチャにされて意識を失ってたのか!?て言うかあれでなんで死んでないんだ俺は?ウーパールーパー様々か?


刺殺公爵はどうなったんだ?頭をコツコツするな!誰だ!?ん?馬ぁ!お前だったのかぁどうやら馬がキャンプポイントで待つのは飽きてやって来たらしい、馬よ良く来てくれたなぁこんな腐った臭いまみれの場所に…


自分がどうなってるか確認しないとな、とりあえず死んでないっぽいな周りの景色は意識を失う前の景色だし何より目の前に馬がいる、身体の方は…こりゃひでぇ…両足と右肩の穴は塞がっているものの薄皮を貼っている位で中身の肉や骨までは回復しきってない感じだ、二の腕から吹き飛んでいた左腕は肘辺りまで生えてた、そして盛大に吹き飛んだ俺のお腹は…わぁーお…こちらも皮膚はかろうじて再生してるが凹んでるなんてもんじゃない皮膚で背骨を真空パックしたみたいな…内臓が全く無い…


内臓がないぞうってね…………………


これで生きてる俺って実はすげぇんだなウーパールーパー様々様々だ、内臓が無いなら飯食っても意味ないなぁ…腹減ってきたらどうしようお腹が空き過ぎて腹と背中がくっついたらどうすんだ…今実際にくっついてるけど…前回の大怪我した時の再生速度から鑑みるに大体3日くらいは意識を失ってたぽい感じがする…だから馬はここに来たんだなご飯を3日食べてなかったらお腹空くもんなぁ…馬ごめんよ


そんで足の感覚が無い…けどいずれ背骨が完全に回復したら背中の神経も繋がって動くようになるだろう、立てないから馬の手綱を掴んで引き摺っていって貰う…刺殺公爵の所まで


刺殺公爵の位置も意識を失う前と変わっていない、きっと死んでいるはず…死んでるよな…死んでてくれよ…刺殺公爵触れてみる、反応はない、パイルバンカーの杭が身体中に刺さっている身体って言っても本当に木の枝みたいだなパイルバンカーの威力で刺さっているというか半分砕け刺さったみたいな、顔はっと…マジでカカシだな…布に塗料で目をちょんちょん口をグイっと書いてる…こんなのが人類を殺し回ってたのか、片手で持てちまうくらいに軽いな…だから今回の作戦で倒せたんだろうな堅さというか防御力が無かったんだな…ジイサンの予想が当たってて助かったぜ…


ん?刺殺公爵の砕けた胸辺りになんかキラキラ光る物が見えるな、高く売れそうなもんだったら遠慮無く持って帰っちゃお♪ゴソゴソをまさぐっていたら透明な石だとわかった、これってもしかしてヒューマナタイトか?なんでったって刺殺公爵にあるんだ?これは人類の胸に付いてるもんだろ?こんなカカシやろーも人類だってのか?公爵殺したの俺が初めての人類だろうからジイサンに聞いてもわかんないだろうしなぁ…まぁ持って帰ってみるか


少し触ってたら一瞬の内に手の中で消えちまった…あの時の刺殺公爵が父ちゃんのヒューマナタイトを吸収した時みたいに…


マンダ「えぇ!?俺の中に入っちまったのか!?ヤバいかこれ!?死んじゃうかこれ!?」


???「コウシャクマナタイトの摂取を確認、寿命を100年追加、超過エネルギーを身体再生エネルギーに変換、肉体の再生を開始します」


マンダ「なんだぁ?この声!?うわっ!腹が膨らんでいく!?足の感覚も戻ってきた!痛みも消えてきたぞ!」


ペチャンコに凹んだ腹がいつも通りの腹に戻った、右肩の穴と両足の穴も中身が戻った感覚があると、左腕もニョキニョキ生えてきた、自分の腕ながらちょっときめぇ…足に力が入るなんとか立てそうだ


???「刺殺公爵のコウシャクマナタイトの摂取者である公爵殺人者マンダに刺殺公爵の能力付着を確認」


《細くなる者》を獲得


マンダ「さっきからこの声はどこから聞こえてくるんだ?出てこい!」


???「私は公爵を殺した者へアナウンスするだけの存在です」


マンダ「んん?つまり天の声って事か?」


ジイサンが言うには500年前の公爵どもが空から地上に落ちてきた時から天にもうひとつ世界があるって話が出来たんだっけか?


マンダ「ってことはお前も公爵側の存在か?」


天の声「いいえ、私はアナウンスするだけの存在です」


マンダ「…………まぁ危険じゃ無いなら良いかぁ身体もなんか元に戻ったし、えぇーと寿命も伸びたんだっけ?儲けもんって思えば良いか」


マンダ「後はなんだっけ《細くなる者》か…どうやって使うんだ?」


天の声「思うだけで使用可能です」


マンダ「そりゃ楽でいいな、よしっ!ふ~ん!ハッ!」


腕が刺殺公爵のみたいな異様に細い腕になった、というかただの木の枝だ…別に素早く動けないし力強くもないただのカカシの手足だ…自在に動くだけだ…


マンダ「これって何の意味があるんだ?」


天の声「さぁ?」


馬「ブルルゥ?」


まぁいいか色々あって頭が混乱してる…刺殺公爵は殺せたし馬も待たせちゃってるしジイサンに報告して喜ばせてやるかぁ…


けどこっからまた10日間の帰り道だ…遠いぜぇ…


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る