カルミア
ローシェさんと僕の間に沈黙が流れる。
嫌われた!!ローシェさんのことを可愛いだなんて!初対面の相手に見惚れるなんて……
「気にしなくていいわ。あなた、若いんでしょ?」
ローシェさんはまったく気にしてなさそうな様子で僕に声をかける。
「いや、その、ごめんなさい」
僕はしどろもどろになりながらローシェさんに謝る。
それにしても見た目より大人そうな人だなぁ。同じ年代ぐらいの人が苦手だったから話しやすそうで嬉しい。
「これあげる。怪我してるわよね」
そうローシェさんは言い僕にドリンクらしいものを渡してくれた。
外見はただのジュースだけど、これが傷に効くのかな……
「回復薬みたいなものよ。その程度の怪我ならそれを飲めば回復するわ」
「そうなんですね。結構痛かったのでありがたいです。ありがとうございます」
敬語ってこんな感じだったかな……ちゃんと喋れてるか心配……とにかく体が痛いから飲んでみよう。
回復薬を飲んでみると体から痛みが引いていく。
「凄い……本当に怪我が治っていく……」
「今は完全には治らないと思うけど、時間が経てば完治するわ」
本当に夢の世界みたいだ……ローシェさんの種族はなんなんだろ?
「私の種族?あんたと同じ人間よ。でもあなたの世界の人間の普通とは多分かなり違うでしょうね」
ローシェさんは人の心を読める能力を持ってるし、やっぱり今までの常識が通用しないみたい。
心を読める能力か……考えるだけで大変そう……あ
「ごめんなさい!失礼なこと考えちゃって……」
「慣れてるわ。気にしなくていい。」
ローシェさんはいつもそう反応するかのように言う。
全く気にしてないように見えるけど悲しそう……なんとなくそんな気がする……
「ここで話してると危ない。まずは私のいる拠点に案内するわ。話の続きはそれから」
「は、はい!」
僕たちは出入り口からダンジョン?を出た。
外には平原や森、見たことない植物もあった。
ローシェさんが言うにはこの世界はいたるところにモンスターがいるみたい。
ローシェさんはモンスターの気配に敏感で、この人の言う通りにしているとモンスターに遭遇することはなかった。
「あれが私がいる拠点よ」
「凄い……壁に囲まれてる」
平原を歩いていると、石の壁が見えた。
凄く長い壁だなぁ。大きい門も見えるし。
そんなことを思っているうちに、門の目の前に着いた。
「少し待って」
そう言ってローシェさんが、門番らしき人に話しかけた。
うーん……この世界の人からしたら、僕はよそ者だから不安だなぁ。
うん?ローシェさんがこっちに手招きしてる。思ってたより早い。
「話終わるの早いんですね」
「この世界ではいつも通りのことだからよ。その点も後で話すわ。付いてきて」
ローシェさんがそう言い先を歩く。
「ここ、カルミアっていう拠点なんだ。よろしくな!」
門を潜ろうとした時、先ほどローシェさんと話していた人がそう声をかけてくる。
「よ、よろしくお願いします。」
急に声をかけられてびっくりしたけど、ちゃんと挨拶できた。よかった。
カルミアの中に入ると、見たことない不可思議な建物があったり、
沢山の人で僕はびっくりした。耳が長い人、多分エルフ?の方が特に多い。
「すごい……本当に僕、別の世界に来たんだ……」
僕は思わず立ち止まってポカーンとしてしまう。
「しっかり付いてきなさい。迷子になるわよ。」
ローシェさんが振り返ってきてそう言ってくれた。
「はい!」
そしてローシェさんと僕はある場所にたどり着くのであった。
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