優秀な社員
オリーは困っていた。
大量の部品を制作する大きな工場の監督をするオリーだが、最近は社員のやる気がなく、生産速度が低下していたのだ。
それに、作業工程もわざわざ人間が行うようなものでもなくそれの不満を感じる社員も多くあった。
しかし、それを本部に言うこともできず板挟み状態が続いている。
「オリーさん、正直俺たちのやってる仕事なんて誰でもできますよね?」
最近工場に入った新人が尋ねてきた。
「もちろんそうだ」
「俺、高校で工業のこと学んできたのにここじゃ俺のスキルが生かせないですよ!」
「みんなそう感じているのは知っている、だがどうしようもないんだ.......」
唇を噛みしめながら答えるオリーだったが、新人は食い下がらずにポケットから一枚の紙を出した。
「だから俺、高校での知識を活かしてこんなものを考えたんです」
「なんだこれは」
新人が取り出したのは工場の生産ラインを肩代わりするロボットの設計図と計画書だった。
「これを作れれば俺たちの仕事はロボットに任せて俺たちは他の仕事ができますよ」
「なるほど、早速やってみよう」
翌日、設計図からロボットを一つ作り生産ラインに組み込むと試みは見事に成功、作業は滞るどころか効率が格段に上昇した。
「これはすごいぞ」
手ごたえを掴んだオリーは残るロボットを作りそれぞれ生産ラインに組み込んだ。
すると、今まで社員たちがしていた仕事はすべてロボットによって簡略化することに成功した。
「やりましたね、オリーさん」
「ああ、すごいぞ。こんなことをしたのは君が初めてだ。本部に報告すれば昇進だって間違いない」「そうですよ、俺たちの才能はこんなところで働くようなものじゃない!」
新人と一緒にオリーは喜び、翌日本部に工場でのロボットのことを報告した。
すると、本部の社長は大喜びして、オリーの肩を叩いた。
「とても素晴らしいな、これで私たちもより効率化ができる。君たちに支払う給料がなくなったから
ね」
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