陽春【ようしゅん】

第1話

「杏璃おはよう」




「おはよう、紗希ちゃん」





同じクラスの内藤 紗希(ないとう さき)

前の席の彼女とは高校に入ってからの仲なのでまだ知り合って2週間ほど。



杏璃達の通う都立西方高校(とりつ にしかたこうこう)は進学校の1つで卒業後の進路は就職率よりも進学率の方が圧倒的に上回っている。






「今日も杏璃は可愛いな〜!」




よしよしと子犬を撫でるように紗希が杏璃の頭を優しく撫でる。身長が152cmの杏璃は164cmある紗希と並ぶと小ささが際立つ。


紗希は、手足が長くスレンダーな体型をしている。肩にかからない長さのショートボブでバスケ部に所属するバリバリの体育会系だ。綺麗な顔立ちをしている為、男女共にとても人気が高い。




一方、杏璃は身長が小さいながらも年相応な女性らしい体型をしている。長さが胸下まであるウェーブのかかった色素の薄い髪は光が当たるとより一層茶色く見える為、染色していると思われることも多い。可愛らしく愛らしい杏璃は、今まで無自覚に同級生の男の子達のハートを鷲掴みにしてきた。






自分達の席に座り、昨日のドラマの話などをしていると始業の時間が近づき少しずつ教室の中が賑わってきた。



杏璃の隣で荷物を置く音が聞こえる。





「おはよう、林くん」




杏璃が、隣に座る彼に挨拶をすると、挨拶が返された。




「おはよう、中村さん」

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