アバンツオ州侵攻作戦⑧州都制圧は目前!
カン!
キン!キンキンカンカン!ガン・・・ドッ!
倒れ込むチェンバレンの喉元に男の剣が・・・
(くそ!俺もここまでか・・・)
「これまでだな!」と剣を突き刺そうとしたその瞬間!
「チェンバレン大佐!」
そこへ現れたのはミチル。
「ミチル殿!来ちゃダメだ!」
うぉぉぉぉおぉぉ!!!!!!
ミチルの突進に気を取られた男に、素早く立ち上がったチェンバレンが
男の脇腹を一突き
ぎゃぁぁぁぁぁぁ
ミチルの剣が男の心臓を突きぬける。
背後からもチェンバレンが斬りつけると、男はその場に倒れ込む。
そして最後にチェンバレンが止めを刺し、激闘に終止符を打った。
「ミチル殿!かたじけない!あなたに救われました!」
「あーね!よかったじゃん!ウチのおかげだねwwwww」
「本当にありがとうミチル大尉」
南門守備隊は隊長戦死の報を聞いた途端、政庁へ向けて敗走していった。
「じゃあ、うちは持ち場に戻るっす!」
「では後ほど!」
「うっす!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ミチル・・・どうだった?」
「大丈夫よ!チェンバレンってイケメンね♡」
「まぁた!ここは戦場だよ!そんなこと言ってる場合じゃないよ」
「シャーロットは真面目だね。こう言う時でも楽しまなきゃ!どんな時でもね」
「あんたはポジティブね。うらやましいわ・・・」
「そうしないとさ、気持ちがね・・・それはそうと、キズの具合は?」
戦闘中に脇腹を斬られたシャーロットは看護兵の手当てが適切で、すでに通常モード
「まぁ無理しなくていいんじゃね?まだ先は長いしさ」
「うん、ありがとねミチル」
「いいってことよ」
ミチルとシャーロットが率いる部隊は新人が多いため、と言うか・・・
「新兵だけだしなぁ・・・多めに休んどくべ」と西門近くで一息入れていた。
大木に括りつけられた総督を監視しながら。
夜明けとともに州都アバンツオに突入し
守備隊と激戦を繰り広げながらも、その日の日没頃には7割近い市街地を制圧した。
その日の夕方。
「魔王さま、小規模な夜襲をかけましょう」
「それは私も考えていたよ。騎士団の連中を休ませないハラスメント攻撃だな」
「あくまで小規模にいたしましょう」
「では各部隊に伝えよ。少人数だが精鋭たちで夜襲をかけるようにと」
「はっ!」
その知らせはクロエ・ルメール大佐の下にも届いた。
「おお!夜襲か!久しぶりだなぁ・・・闇の種族たる我々の真骨頂だ。
参戦したいものは私と一緒に来い!」
ダークエルフを中心とした20名ばかりの小部隊が闇に紛れて、
正面の州騎士団の建物に夜襲を仕掛けるべく、静かに近づいて行った。
建物の裏手に回ると勝手口。
「なんだ鍵もかけないのか?こういう非常時にも」
「そのようですね。騎士団といっても所詮はこの程度ってことですか」
「まぁ気は緩めるな。いつでも斬り捨てる」
「はっ!」
騎士団の建物に侵入する夜襲部隊。
「うーーーちょっとトイレでも行くか・・・あ!誰だ!おめえら!!」
と言うのと同時に、一人のダークエルフが近づき、口を手で押さえると、
もう一人が短剣で首を・・・
スパッ!
シュワァァァァァァァァァ
噴水の様に噴き出る真っ赤な血
一人目を瞬殺
さらに奥へ進む
もう一人を今度は、ダンピールがそのするどい鞭が男の首に巻きつく
くるじぃぃぃぃぃぃ・・・もがく男。鞭で締め上げると男の首が
ズパッ・・・と異様な音を立てて切断された。
ゴロッと転がる男の首・・・
「この首、どうします?」
「そのあたりに捨てておけ!」
正面玄関付近でリナ隊、チェンバレン隊が松明を燃やして周囲をこうこうと照らし
「明るくて眠れやしねぇぞ・・・」
「どうでも良いけど、すこし休ませてくれよ・・・」
そう魔王軍の目的は、騎士たちを眠らせないこと。
騎士の体力を削ぎ落し、有利に戦いを進めていくためだ。
侵攻二日目
さらに騎士団の抵抗は激しくなり、
魔王軍の死傷者も増えてくる。
路上で傷を負っている兵士に
「大丈夫か?」
「小隊長殿!自分は問題ありません!構わず進んでください!うっ・・・」
「おい!しっかりしろ!」
「・・・」
深手を負っていた兵士を寝かせ、手を合わせる小隊長こそリナ隊配下のリンカだ。
「くそ!騎士団の連中め!行くぞ!私の後に続け!」
「おおおお!!!!!!!!」
あちらこちらで激しい白兵戦が繰り広げられる中、突撃を続けるリンカ隊
やがて赤いレンガで建てられた壮麗な建物が目の前に。
「ここが政庁だ!リンカ・アメル少尉が一番乗りだ!お前らもよく頑張ったぞ!」
「やりましたね少尉殿!」
「では後続部隊の到着を待って突入する!それまで休憩!ただし見張りは厳重に!」
暫くすると
あとから追いかけてきた部隊が続々と集結してくる。
その中には隊を率いるリナ・マツモト大佐も。
「リンカ・アメル少尉!よくやった!キミに先陣を許可する!思う存分暴れ給え!」
「はっ!有難き幸せ!ではさっそく!」
リンカ・アメル少尉を先頭に政庁内部へ侵入すると
さっそく騎士の襲撃だ。
だがひるむことなく、リンカ隊は騎士を次々と斃していく。
総督はすでに自分ひとりだけ逃げ出し、家族や側近を置いたままにする鬼畜である。
「総督閣下は逃げられた。私たちは魔王軍に殺されるのですか?」
「御心配には及びません、夫人とご家族は我々がお守りいたします」
20名近い騎士が総督夫人と子供たちを守っているのだが・・・
激しい戦闘の様子は総督夫人たちにも、徐々に近づいてくるように聞こえる。
「ママーー・・・」
「大丈夫よ騎士さまがお守りしてくれるのよ」
怖がる子供を抱きかかえながら恐怖と戦っている総督夫人。
「よし!今日はここまでとする。明日夜明けまで休憩せよ。見張りは厳重に!」
「はっ」
激しい戦いの二日目が終わった。
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