学校へ戻りたいけど戻れない・・・
アオト、ユウタ、リュウトの3人は、死んだサヤカ、ユウコの形見をもって
洞窟を奥へ奥へと進んでいった。
「サヤカとユウコには悪いことしちゃったな」
「でも仕方ないよ、学校へ帰るためには。尊い犠牲だと思う」
「うーん、俺はサヤカが好きだったから・・・」
「アオトはそうだったな。サヤカと付き合ってたし・・・しょうがない」
「しょうがないけど、やり切れないな」
「解るよ、お前の気持ち。いっしょにいてやりたいけど・・・」
「あ!福田!」
理子が座る大きな広間にたどり着いた3人。
「よく来たね?あんたたちだけ?」
「途中で二人・・・死んだよ」
「そう」と冷たく言い放つ理子。
「あんたたちも帰りたいよね?返してあげるよ、学校へ」
「マジ?」
「でもその前に、この子と戦ってもらうわ。リナ!」
3人の前に現れたのは、リナだった。
「リナ?こいつと戦えってか?出来るわけないだろ!クラスメイトなんだぞ!」
「あ、そう。私はクラスメイトじゃないって?」
「あ、いや、そういうわけでは・・・」
「わたしも貴方たちと同じクラスだったよね?まぁ解らないでしょうけど。
ずっといじめられていたしね、解らなくて当然かも」
「おまえにはホントすまない。悪いことしたって思ってるよ。でもさ・・・」
「でもなに?仕方が無いって言うの?だから私に黙ってイジメられていろと?」
「・・・」
「どんなに辛かったか解る?一人を大勢でイジメてさ何が楽しいの?」
「楽しいってことは無いんだけど・・・」
「けど何さ」
「俺たちも何も好き好んで、お前をイジメていた訳じゃないんだ」
「どういう訳よ、言ってみなさいよ」
「そ、それは・・・プレッシャーと言うか、そんな・・・」
受験とか将来のこととか、家族からのものとか、いろいろと言い訳を聞いていた。
「まぁ結局は自分だけが良ければいいってことでしょ?いい大学行って会社入って
家庭をもって・・・そう言う人生を送りたかったんでしょうよ。
その過程でのプレッシャーから解放されたかった。だから私をターゲットにした
イジメで”憂さ晴らし”をしたんでしょ?」
「・・・」
「憂さ晴らしの相手にされた私の気持ちを考えたこと有りますか?
いつもいつも毎日毎日、いじめられて学校行きたくないって何度思ったか?
でも、そしたら、あんたたちに負けるってことだからね。だから通い続けたのよ」
「・・・」
「まぁいいわ。こうやって私が今度はあんた達に憂さ晴らし出来るんだしね」
理子はメレイに命じて
「リナにわたしの指示を全て聞くように魔法をかけて」「解りました魔王さま」
「魔王さまの忠実なる下僕よ!いざ行かん!戦いの場へ!!」
魔法をかけられたリナの瞳の色が赤く変化し、3人にツカツカと近寄ってくる。
「やめろ!リナ!俺だよアオトだよ」
「うるさい!」と言った瞬間、その大剣でアオトを袈裟懸けに斬り捨てた!
ぎゃっ!と声を発した瞬間。ばたっと後ろに倒れそのまま動かなくなった。
「アオト!」
「次はお前だ!ユウタ」
「くそっ!許さねぇ・・・くらえ!」
「スラッシュ!!」とリナが叫ぶと、大剣が横に目にもとまらぬスピードで薙ぎ払う
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ
ユウタは身体を真っ二つにされて即死。
リュウトは恐怖のあまり、身体が動かなくなっていた。
それでも最後の力を振り絞り、矢を放つ・・・けれど
リナは剣でその矢を払って前進してくる「よせ!やめろ!リナ!ゆるしてくれ!」
だがリナは容赦しなかった。
やっ!
グサッ・・・大剣でリュウトの身体を一突き!
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
す・・・・・まな・・い・・みん・・な・・・・俺は・・・こ・・・こで・・死ぬ
3人を斃したリナは
「魔王さまの仰せの通りにいたしました」
「よくやったわリナ」
「はっ!」
「これは如何しましょう?」
リナはアオトが持っていたサヤカとユウコの形見を持っていた。
「そのあたりに捨てておいて」
「承知」
洞窟の奥で形見のネックレスとブレスレットを捨て、踏みつぶしたリナ。
「次のご指示を」
「少しおやすみなさい。ミリア頼むわ」
「解りました魔王さま。リナさまどうぞこちらへ」
「かたじけない」
かたわらの水晶玉を見ると・・・
残っているのは5人。
「こいつらは、いじめの主犯格グループね。よしよし・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
残ったのは理子をイジメていたグループの主犯格の5人だ。
サヤ、レナ、カズハ、チハル、そして主犯のミチル、すべて女子生徒。
ミチルは剣、チハルとサヤは槍をつかい、カズハは弓士で魔術士、レナは回復術士。
「よーし!じゃあ行くぜ、あいつをボコボコにしてやろうぜ!」
「ミチル、あんたリーダーやってくれよな」
「任せろ!あたいがリーダーなら絶対帰れるからよ!」
すでに二つのパーティが進んでいった分岐点にたどり着いた一行
「ここで私の先導は終わりだ。この先はお前たちが決めろ」
戻ろうとしたダークエルフに・・・
グサッ!
ドッ!
チハルとサヤはダークエルフに前後から槍を突き立てた
「お・・・お・ま・・え・たち・・帰れる・・と思・う・・・な・よ・・・・」
「帰ってやるぜ!お前に言われなくてもな!」
ミチルは死んだダークエルフを蹴り飛ばし、進んでいく。
右手の洞窟を進む
出てきたのは一つの扉。
「なんだこんなところにドアがあんぞ!」
「おお!出口か!やったな!」
ドアを開け、まっすぐに進む通路を行くと、また扉だ。
さらに扉、また扉、ようやく二つの扉が・・・「どっち行く?」「右!」
右の扉を開けると、今度は3つの扉が・・・
ずーっとその繰り返し。
その間、こうもりが一行の頭上を付き纏い、きぃきぃきぃきぃと鳴いている
「ったく!このこうもり野郎がうっせーんだよなぁ」
「だよねぇ、マジうるさいし」
ようやくこの空間を抜けたのは、入ってからすでに3時間以上も経っていた。
こうもりの鳴き声と、同じような場所をぐるぐると回り、いつまでたっても
出られないストレスから・・・
「マジでイラつくよ、こういうのさ」
一行みんながイラついているのが手に取るように解る。
水晶玉を見ながら理子は「ふふふ・・・もっとやってやろうっと、メレイ頼むよ」
「承知しました、魔王さま」
メレイが打った次の手とは・・・
完
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