光と出会った一人の少女の物語

@Hanana_mirai

第1話 突然の出会い

 その日は雨が降っていた。いつもと同じ夜、大翔は仕事帰り同僚の後輩と歩いていた。そこは小さなお店が並ぶ少し賑わう街だ。

 そんな道端で、雨の中傘もささずにパーカーのフードを深く被って座り込んでいる人がいる。びしょ濡れだ。

 大翔はかけ寄り傘をさし、声を掛けた。


 大翔「大丈夫?」


 そう聞いて近寄ると、その人は顔を上げた。女の子だった。あまりにも絶望したような、全てを諦めているかのような、目の光が失われている顔で、大翔は息を呑む。高校生くらいか?

 何も言わず顔をそらす女の子に大翔はそのまま声を掛けた。


 大翔「お家は?」

 女の子「、、、」

 大翔「立てる?少し歩けるかな?」


 そう声をかけると女の子はゆっくりこっちを見た。

 そしてゆっくり立ち上がった。


 大翔「一度連れていこう」

 後輩「そうですね」


 そう言って女の子に傘を差しながら大翔の職場である警察署へ向かった。


 少し歩くと警察署に着いた。大翔は女の子をイスに座らせタオルを渡し、自販機で買った温かいココアを渡すが女の子は動かない。大翔は向かいのイスに座り女の子に問いかけた。


 大翔「いくつか質問していいかな?」

 女の子(少し顔をあげる)

 大翔「名前教えて?」

 女の子「、、宮田ほのか、、」


 女の子は宮田ほのかという名前の女の子だった。


 大翔「ありがとう。ほのかちゃんは何歳?」

 ほのか「、、16歳」


 高校2年生くらいか。


 大翔「保護者に連絡したいんだけど,電話番号聞いてもいいかな?」

 ほのか「いない」

 大翔「え?」

 ほのか「、、親なんかいない。、帰る場所もない」


 ほのかは親も帰る場所も何も無いと言う。それを聞いた大翔は考え悩む。そんな時上司と先ほど一緒にいた後輩が来た。

 大翔は先のことを2人に伝えている時だった。


 ほのか「私に帰れというなら、、、あんな奴の元に行くくらいなら、、死んだほうがマシだ」


 と、真っ直ぐに言ってくる。そう、とても真っ直ぐに。そんなほのかの姿を見ると本当にそうなってしまいそうな気がして何も言えずにいた大翔。


 上司「よし、ではこうしよう。今日は大翔が保護という形で一旦預かっていてくれ。そして明日またゆっくり話そう。」

 大翔「!!?」

 上司「ほのかちゃん、これならいいかい?」

 ほのか「(小さく頷く)」

 大翔「フゥー(大きく息を吐く)わかりました。」


 ここから二人の人生が大きく変わっていったのだ。




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2024年11月20日 20:00 毎週 日・水 20:00

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