閑話休題⑪

◆謎の洞窟◆

暗く静かな洞窟。誰にも踏み荒らされることなく、長い年月が過ぎ去ったかのように、そこにはただひたすらに沈黙が支配している。獣の足跡が散らばり、空気にはどこか古びた匂いが漂う。壁を撫でると、冷たさとともに、何か異質な感触が指先に残る。


下へ、さらに下へと進む道は、やがて行き止まりを迎える。しかし、目を凝らせば、そこには淡い光を返す白い物体が、静かに待っている。石か、それとも……何か別のものか。触れてはいけないと感じさせる、冷たい輝き。


その先に何が待つのかは、誰にも知られていない。ただ、そこにあるのは、無限の時に埋もれたもの。


振り返るなら、今しかない。


「洞窟に入る前に覚えておけ。暗闇の中で静かな場所ほど、長い時がそのまま眠っている。だが、眠っているのは時だけじゃない――奥へ進めば、何が目を覚ますかわからん。特に、見たこともないものに出くわしたら、慌てるな。帰り道が無事なうちは、いつでも戻れる。それを忘れるなよ」

――ベテラン冒険者


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