第4話 力と仲間と金と、あとは…

別れ際、ロイドは何度も念押ししてきた。

今日あったことは絶対に口外しないこと。

もし、秘密を洩らしたら、大変なことになる。

わかってるぜ、ロイド!こんな街中の屋敷で戦闘があったなんて、知った人は不安になるもんな!

ロイドは本当に親切でいい奴だ。

それにしても、秘密で正義のために戦うなんて、魔法使いと同時に変身ヒーローみたいになったみたいだ。


奪還した財宝を馬車に乗せた後、ロイドはそのまま馬車に乗って行き、マーティも家族がなんたらと言って急いで帰ってしまった。

「なあ、エルク!」

続いてそそくさと行ってしまいそうなエルクに俺は声をかける。

「なんだよ、正義がなんたらの戯言はもういいぜ」

「違うさ、それも大事だけど俺ら、やることがあるだろう?」

「うぜえな、もったいぶるなよ」

「フランツもさ!」

顔面蒼白で蹲っていたフランツが顔を上げる。


俺は二人に向き合った。

「もう夜明けだ。今から眠って起きたら夕方かな。そしたら――」

俺は手に入れた。

戦う力を。

素晴らしい仲間たちを。

誇らしい職業を。

美形な顔を。

自信を。

この世界の俺は、うじうじしていたデブで無職の引きこもりのおっさんだった俺とは違う。


だが、まだ一つ足りない。


俺は言った。

「エルク、フランツ、酒場にナンパに行こうぜ!!」


そう、まだ俺が持っていないもの――それは可愛い彼女だぜ!!

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