第2話 犯罪者は全員死ね

屋敷に入った途端警護魔法が発動し、警護の兵士や魔導士が10人ほど駆けつけてきた。


「やれ!徹底しろ!!一人も逃すな!!」

ロイドが俺たちに言う。

今回は悪党たちの蓄えた金銀財宝の奪還が目的だが、悪党を根絶やしにして二度と悲劇が起こらないようにすることも正義の役割だ。


転生前の俺は、SNSで正義の議論をするだけだった。

「犯罪者は全員私刑にするべき」と書き込んで啓蒙するだけの小さな正義しかできなかった。

だが今は違う。


「ジャスティス・フレア!!!!」

俺の手から魔力が開放され、熱線が悪党たちの頭部を打ち抜く。即死だ。

「ざまあみろ!」


「みんな無事か?!」

戦闘していたフランツに駆け寄る。

「ヒィッ…!俺は悪くない」

フランツは泣きながら倒した敵の喉元に何度もナイフを刺しては抜いてを繰り返している。

プロは用心を怠らないのだ。卑怯な悪党は死んだふりでやり過ごそうとしているかもしれない。さすがフランツ、冷静で懸命な仲間だ。

「俺は悪くない、俺は悪くない、俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない」

「フランツ!もう大丈夫だ!」

俺が駆け寄るとボロボロと涙をこぼす。

フランツは本当に心が優しいのだろう。

悪党のためにも涙を流すなんて。


「ヘルメス…俺たちは、悪くない、よね?」

「あたりめえだ、悪いのは俺らじゃねえ、俺らをこんなんにした奴らだろうが!」

敵を倒したエルクが来て会話に割り込む。

「ああ、そうだ!悪い奴が悪いんだ。犯罪者は死んで当然さ!」


「終わったみたいだな」

敵が潜んでいそうな場所を確認し終えたロイドが言う。

「あれか」

ロイドが指す先にはいかにもという豪奢な扉が見える。


マーティが無言で扉のほうへ歩いていきハンマーを振り下ろす。


待ってろよ、悪党!今までの報いを受けろ!

俺は拳を握りしめ、そこにいるであろう悪党の親玉を許さないことを誓った。

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