2.気持ちよく出すために幸せで楽しくいることが大事

第2話

2.気持ちよく出すために幸せで楽しくいることが大事


新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、私たちの生活は大きく変わりました。みなさんは、日々「ほがらかに」お過ごしでしょうか? うつうつとしたこの時代、みなさんの「楽しみ」は何でしょうか?

幕末の福井の歌人で国学者の橘曙覧(たちばなのあけみ、1812~1868年)は、『橘曙覧遺稿 志濃夫廼舎(しのぶのや) 歌集』に「独楽吟(どくらくぎん)」という和歌を遺しています。橘曙覧の「独楽吟」とは、「たのしみは」で始まって「……とき」で終わる形式で詠んだ和歌のことです。わたしは3年ほど前に、北陸自動車道の福井県にあるサービスエリアのレストランでこの和歌と出会い、いつも「こうありたい」と小さな楽しみをみつけるようになりました。そのいくつかを紹介させていただきます。



たのしみは 空暖(あたた)かに うち晴(は)れし 春秋(はるあき)の日に 出(い)でありく時

たのしみは 朝おきいでて 昨日(きのふ)まで 無(な)かりし花の 咲ける見る時

たのしみは 常(つね)に見なれぬ 鳥の来て 軒(のき)遠からぬ 樹(き)に鳴きしとき

たのしみは 物(もの)識人(しりびと)に 稀(まれ)にあひて 古(いに)しへ今を 語りあふとき

たのしみは そぞろ読みゆく 書(ふみ)の中(うち)に 我とひとしき 人をみし時

たのしみは 雪ふるよさり 酒の糟(かす) あぶりて食(く)ひて 火(ひ)にあたる時

たのしみは 心(こころ)をおかぬ 友(とも)どちと 笑ひかたりて 腹(はら)をよるとき

たのしみは 三人(みたり)の児ども すくすくと 大きくなれる 姿(すがた)みる時


文献1より引用



次に、「しあわせ」について考えてみたいと思います。「しあわせ」を定義づけるのは難しいですね。音楽評論家で作詞家の湯川れい子さんが60歳のときにつくられたという『幸せの法則 あいうえお』は、私たちの暮らしの中のしあわせに気づかせてくれます。



あ 会いたい人に会いにいくことができる

い 行きたいところに行くことができる

う うれしいことができる

え 選ぶことができる

お おいしいものを食べることができる

(『幸せの法則 あいうえお』より一部改変)



本当に会いたい人、心から行きたい場所、みんなで一緒に嬉しい、誰かが喜んでくれたらもっと嬉しい、何時に起きて、何を着て、何をするか……自分の暮らし、からだにも心にも響くおいしいもの。

この法則の最後に、「気持ちよく出すことができる」をプラスしたいと思います。「気持ちよく出す」ことは、この、幸せの法則の延長線上にあるのではないでしょうか。


引用文献

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