新型コロナ 家庭内感染広がる 福岡県では経路判明者の70%超20210907
第35話
新型コロナウイルスの第5波で、感染力の強いデルタ株が広がる中、家庭内で感染が広がるケースが相次いでいます。
福岡県内では、感染経路が判明している人のうち、家庭内感染の割合が増え続け、初めて70%を超えました。
福岡県によりますと、8月23日からの1週間に感染が確認された人のうち、家族から感染した人は2204人で、感染経路が判明している人の70.3%を家庭内感染が占めました。
この割合は、第4波の2021年5月は50%台で推移していましたが、第5波の8月以降急激に増え始め、70%を超えたのは初めてです。
福岡県によりますと、第5波以降、これまでにない勢いで子どもも含めて家族間で感染が広がる背景には、感染力の強いデルタ株が大きく影響しているとみられるということです。
家族7人全員感染のケースも
家庭内感染では、家庭に持ち込まれたウイルスが瞬く間に家族に広がり、幼い子どもまで感染するケースが出ています。
家族7人で暮らす福岡市の50代の男性は、8月上旬、39度の熱が出て、翌日には40代の妻も発熱しました。
続いて、小学5年生の次女が発熱するなど合わせて4人の子どもにも発熱やけん怠感の症状が出始め、PCR検査を受けた結果、無症状の5歳の幼稚園児を含む子ども5人と夫婦2人の家族7人全員の感染が判明しました。
保健所からは宿泊療養を勧められましたが、幼い子どもがいるため自宅療養を選び、いっさい外出をすることなく、知人からの差し入れや宅配サービスを利用して生活を続けました。
数日後、妻と子どもたちは回復しましたが、男性は熱が下がらず、血液中の酸素飽和度も低いままで、感染確認から6日後、市内の病院に救急搬送されました。
入院から10日後、ようやく熱が下がり、肺の機能も回復したことなどから退院しました。
子どもたちは現在、通常どおり学校や幼稚園に通っていますが、男性は、今も息切れや強いけん怠感に悩まされていると言います。
この家族ではコロナ禍が長引く中、徐々に感染への警戒感が薄れ、帰宅した際のうがいや手洗いなど感染対策をおろそかにすることも多かったということです。
男性は「コロナは自分には縁遠いという感覚がどこかにあり、甘く見ていた。家庭内に気付かないうちに入り込んでくるもので本当に怖いものだ」と話していました。
また、妻は「まさかわが家でクラスターが起きるとは思いもよらなかった。今後はできるかぎりのうがいや手洗いを徹底したいと思う」と話していました。
九州医療センター 神野医長「基本的な対策の徹底を」
新型コロナウイルスの感染者を受け入れている、国立病院機構「九州医療センター」の小児科の神野俊介医長は、家庭内感染を防ぐ方法について「食事をとる場所や寝る場所を分けるといった対策が考えられるが、感染しているかどうか分からない段階で、家族内で隔離生活を送るのは現実的でなく、難しいと思う。家庭内で感染対策を徹底するというよりは、外からウイルスを持ち込まないよう手洗いやうがいという基本的な対策を改めて徹底してほしい」と話していました。
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