第13話 大調査&告白からの即返事(その2)



あの日をきっかけに俺はナナシさんに会う為に大学に行く事が増えた。週2〜3ぐらいで時間があったら行く事にしていた。


『ナナシさん!今日はフルーツサンド作ってみました!』


『ありがとう、ぁ、結人ゆいと君、これこの前撮った写真、現像したやつ』


『本当ですか!ヤッタ!』


俺はそう言ってすかさずナナシさんの隣に座る。ナナシさんから写真を受け取ると、写真には笑顔の俺が写っている。


『、、、、ナナシさんが撮る写真って、全部笑顔ですよね?何でですか?』


『パクッ モグッ ぁ〜、うん。ほら、写真ってその時の一瞬の出来事が写ってるじゃん?なら、どんな時に見ても笑顔の写真って気分良いなぁーって、思って』


『へぇ〜、、、、良い考えですね』


微笑みながらそう言ったナナシさんに俺はそう返事する。


『それでは、ナナシさん。本名教えて下さい、!』


『、、、、もうちょっと仲良くなってからね?』


『ムゥ この前もそう言ったじゃないですか!!』


『はいはい、、考えてはいるから〜』


『絶対、言わせて見せますよ!本名を!』


次の日も、


『シフォンケーキとガトーショコラのダブルコンボです!名前教える気になりました?なりましたよね!?」


『圧が強い、あともう少し謙虚になって』


『了解しました!』


その3日後も、


『苺のショートケーキ作りました!本名教えて下さい!』


『もっとニュアンス変えてからね』


『嘘ぉ!?!』


その2日後も、


『ニュアンス変えて、鶏団子と白菜の塩味効いたスープです!!これでどうでしょう!?』


『却下、、、、根本的に違う』


『あれぇ!??!』


次の週も、


『チーズケーキ3種盛り!これでどうです!?言う気になりますか!?』


『後もう一押し』


『ヤッタ!言いましたね!?』


『はいはい、言いましたよ。パクッ ぁ、後で写真撮らせて』


そう涼やかな顔でチーズケーキを食べているナナシさんと対照的に、俺は疲れきった顔で項垂れていた。


『(あれ?俺、何でこんなむきになって、ナナシさんの名前知ろうとしてんだろ?、、)』

『(俺が頑張ってるのに一向に名前教えてくれないから?〜)』


何て思いながら、項垂れているとナナシさんが俺の顔を覗いて、


『どうした?撮られたくないの?』


『!?へっ、ぁ、いや、全然、!撮られるのは別に!』


『、そう、なら良いんだけど、じゃ、撮るね』


そう言って立ち上がったかと思えば、俺にカメラを向けてパシャパシャと撮っていくナナシさん。


『自然の結人君を撮りたいから、そのままね〜』


そう言っているナナシさんの顔は涼やかな顔が一変して笑顔になっていて、俺はつい笑ってしまった。


『、、、、フッ フフッ』

『(好きな事をしてると笑顔になってて楽しそうだから、興味持ったのかな、笑。まだ何も知らない関係だけど、名前以外の事ももっと知って行きたいな)』


何て思い始めてきた。この時既にナナシさんと知り合って、1ヶ月が経とうとしていた。

俺は攻めの姿勢を変えようとある事を計画していた。


2日後、、、、


『ナナシさん、今日は生チョコ苺タルトです。どうぞ、お召し上がり下さい』


『ん、ありがとう。有り難く頂きます』


『はい、どうぞ、、、、、、、、、、、、ソワソワッ』


『パクッ モグモグッ 、、、、美味い、けど、、』

『何ソワソワしてんの?結人君??』


不思議そうな顔をして俺の顔を覗き込むナナシさんにビクッとしながらも、俺は緊張しながらも鞄に入っているある物を取り出した。


『あの、えっと、これ、良かったら、!』


『?ノート、?何これ?』


『えっと、その、、ナナシさんの名前聞こうって俺ずっと思ってたんですけど、、、、いざ、考えたら、ナナシさんは俺の事全然知らないですもん。俺もナナシさんの事カメラが好きで撮る事が好きって事しか知らない。なら、』

『俺の事を知って貰ったら、良いんじゃないかって!』


俺はそう言ってノートの表紙をナナシさんに見えるように掲げる。ノートの表紙には【双野結人の紹介ノート】と書かれている。


『、、、、そう来たかぁ、笑』

『はぁ、根負けかな、良いよ。名前以外の俺の情報を教えてあげる。名前はまたね?』


諦めた顔して両手を短く手を挙げてそう言って俺の方を見る。


『〜〜はい!』



みたいな事もあったなぁ。、、、、だから、湊斗みなとさん、俺がBBQで料理してた時、驚いてるって言うより料理してる所初めて見たみたいな反応だったんだなぁ笑。

てか、こん時の俺めっちゃ、子供っぽいなぁ。恥ずかしい。


何て考え深いな、って思っていたら、ふと時計を見ると、時刻は午後6時半になろうとしていた。


「ヤバっ!夜ご飯作らなきゃ!!」


俺は急いで1階に降りて、キッチンに向かって手を洗って、ご飯を作る。



・・・・・・・・・・・・・・



「ただいま〜」


「ギリギリセーフ!」


「ビクッ 、、どうしたん?」


それから約40分後ギリギリで夜ご飯が完成してらんが帰って来た。因みに夜ご飯は親子丼とお味噌汁です。俺は蘭の所に言って大きな声でそう言った。


「な、何でもない!おかえり!夜ご飯出来てるよ!」


「そっ、ならええんやけど、出来てるんやったら食べるわ」


「OK〜!」


俺は蘭に湊斗さんに告白された事などを勘付かれない様に気を付けながら、蘭と話す。


「そういや、さっき湊斗さんから連絡あって、「明日10時ぐらいに来て」やって。やけど、俺明日ちょっと遅れるから先行っといて」


「そうなんだ。了解、でーす」


「あの人、急に連絡する時はあれだ」


「「何か新作の服を作る時」」


「だよな笑、多分徹夜するで、あの人」


「揃ったね笑、でも湊斗さんならあり得るもんね笑」


何て笑い合いながらご飯を食べる。

蘭にこんな悩みを知らないままで居て欲しいもん、俺だけが悩んで解決した方が良いもんね!!


心の中で俺はそう意気込んで気付かれない様にご飯食べ続ける。



・・・・・・・・・・・・・・・・・



「おはようございま〜す」


シーン


「あれ?早かったかな、でも鍵は開いてるし」


ガサゴソッ ドンッ‼︎


俺は少し早く大学に来ると部屋の鍵は開いているが、誰も居なかった。俺が不思議に思っていると、隣から物音がして俺は驚いてビクッとしてしまった。俺は音をした方を見ると、ソファで寝ている人影が見えた。


「ビクッ だ、誰」


「、、ぁ、ご、ごめん。俺、とおる高原透たかはらとおるだよ」


「透さん、!驚かさないで下さいよ!」


「ごめん、、昨日から寝泊まりで居たから、、、、あれ?湊斗は??」


俺に向かって謝ったかと思ったら、辺りを見渡して俺にそう言った。俺はすかさずに、


「俺と透さん以外、居ないですよ」


「、、、、はぁ!!?マジ!?アイツ、また寝過ごしたか!?アイツから呼び出しておいて!」


「?」


「はぁ、、、、俺はまだ作業残ってるし、、結人ごめんだけど、湊斗迎えないってくんない?」


「!?、ぇ、俺が!??」


俺は急にそう言われて驚いてしまった。


「アイツが作った服が沢山あるから、運んだりするの大変だから、お願い出来ない?住所教えるから」


「ぇ〜、、、、、、、、(まだ、湊斗さんがナナシさんだって言う確実な証拠はない。もしかしたら湊斗さんの家に証拠があるかも、、、、なら)」

「分かりました!」


俺は快く(半分嫌)了承した。


「本当!ありがとう、ぁ、鍵渡しとくから、起こしといて、、、、もし家入れてくれなかったら、こう言うと良いよ」


「?? はい」


「コショコショコショ じゃ、お願いね。俺も電話したりするから」


「はい、!」


俺は透さんに住所を教えて貰って、湊斗さんが眠る家に向かった。


俺は少し足取りが軽やかだと思いながら、歩く。

ナナシさん=湊斗さん、湊斗さん=ナナシさんだと言う物的証拠があれば、俺の事が好きになった時が分かるかもしれない。蘭の事を好きになったのはこの事を話せば言ってくれるかも、何て考えながら、、


















だが、まだこの時の結人、そして蘭夜らんや達は知らなかった。まさか、結人と蘭夜と湊斗の関係性がただの関係性じゃない事が発覚するのは、、、、後約4ヶ月後、、、、








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