第24話 ワンクールのレギュラーより一回の伝説
「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!! キィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!! 」。
デイは奇声を上げながら、衣服を脱ぎ捨て上半身裸になってしまった。
「...」。
デイの奇行に唖然とする三人。
そんな人達を余所に、デイは奇声を上げながら奇行を繰り返している。
「のぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんッッッ!?!? 」。
誰もいないところでドロップキックを繰り返したり...。
「ヒィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!! 」。
急に、ほふく前進をし始めたり...。
「ふぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんッッッ!!! 」。
ヘドバンとコマネチをし始めたりとやりたい放題であった。
「ど、どうしたんだコイツ...。く、狂ったか...? 」。
困惑するハリガネと他の二人。
「おっ...? おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぅぅううううううううううううッッッ!?!? 」。
人格がすっかり変わってしまったデイは、ハリガネの足元に転がっている火炎瓶に目をつけた。
「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!! 俺はぁぁぁああああああああああああああああああああッッッ!!! 今からぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああッッッ!!! 伝説を残すぞぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!! 」。
「あっ...!! 」。
デイがそう叫ぶと二人は魔法の正体が分かったようで、ホワイトとメガネが同時に声を上げた。
「マジか!! 」。
「あ~!! アレか!! 」。
「えっ...? 一体どんな魔法...お、おいっっ!! 」。
「ぬぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!?!? 」。
デイは火炎瓶を手に取り栓を開けると、中に入っていた燃料を飲み干した。
「おいっっ!! 何考えて...うっっ!? 」。
ハリガネが制止しようとすると、デイが床に転がっていた手榴弾を手に持ち...。
「フォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!?!? ストライクアウトォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!! 」。
手榴弾のピンを抜いて壁穴に向かって勢い良く投げ始めた。
「うわああああああああああああああおおおおおおおおおおおおおおおおあああッッッ!?!? 馬鹿ぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああッッッ!!! 」。
ボォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!
ドォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!
幸いデイが投げた手榴弾は、全て壁穴を通り外で爆発した。
「のぉぉぉおおぉぉおおおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!?!? 」。
「わぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!! もうやめぇぇぇええやぁぁぁぁああああああああああああああああああああああッッッ!!! 」。
ホワイトが必死にデイにしがみつき、何とか暴走を止めようとしていた。
「キィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!! 」。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!! 」。
デイはホワイトを背負った状態で、壁穴に飛び込み消え去っていった。
「お、おいおい...っっ!! ここ六階だぞ...っっ!? 」。
ハリガネとメガネは急いで壁穴の方まで駆け寄り、その壁穴から地上を見下ろしてデイとホワイトを探した。
「げっ...!? アイツ等そのまま落ちちまったかっ!! 」。
「あ~あ」。
ハリガネ達の視線の先には地上で大の字になり、うつ伏せのまま微動だにせず倒れているデイの姿があった。
同じく落下したホワイトはデイが下敷きになっていた事もあり無事のようだ。
やがて、起き上がったホワイトは慌てふためき倒れたデイの身体を揺さぶっていた。
「あ~あ、そのまま落ちたか...。さすがに六階からそのまま落ちたら助からんな...。まぁ、デイにとっては不本意な最期に...えっ!? 」。
「キィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!! 」。
「...はぁっ!? 」
奇声を発しながら勢い良く立ち上がったデイを見てハリガネ達は驚愕した。
デイは何事もなかったかのように、そのままピョンピョンと坐禅飛びをしながら後を追うホワイトと共にその場から離れていった。
「えっ!? 何でアイツあんなピンピンしてんのっ!? ここから落ちたら助からないどころか、身体のあらゆる部位が破壊されているはずだっ!! い、一体どうなってんだぁ~!? 」。
「そういう魔法なんだよ。“ワンクールのレギュラーより一回の伝説”っていう魔法は」。
困惑しているハリガネとは対照的に、メガネは冷静な表情でそう答えた。
「はぁ...っ!? 何だよ、その魔法は? 」。
ドォオオオガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!
ハリガネはメガネに問いかけた時、凄まじい爆音と同時に扉が破壊された。
そして、傷だらけのヤマナカと他の隊員が部屋へ慌ただしく入ってきた。
「軍曹っ!! お待たせして申し訳ございませんっ!! 防壁の破壊に我々手こずりましてっ!! 現在、館内にいる反逆軍の集団は合流してきた部隊と戦闘中でありますっ!! 戦況は我が部隊が圧倒しておりますっ!! 我々はその間館内を捜査しておりましたっ!! 」。
ヤマナカの言葉でハリガネは我に返り、再び壁穴からポンズ王国の街中を上から見渡した。
(魔法の事なんか気にしてる場合じゃねぇやっ!! ここで逃がすわけにはいかんっ!! 奴等は...)。
ハリガネは目を凝らしてデイとホワイトを探した。
その時、街道をピョンピョンと坐禅飛びをしながら逃げていくデイと、そのデイを追い駆けているホワイトの姿を発見した。
「ヤマナカッッ!! 」。
壁穴付近にいるハリガネはそう叫んで手招きすると、ヤマナカはそれに応じて足早にやって来た。
「赤髪のデイは白装束のホワイトと共にこの壁穴から逃亡したッッ!! 現在、ユズポン通りに沿って移動中ッッ!! そのまま奴等を追えば控えている王国軍の前線部隊と挟み撃ちが出来るかもしれんッッ!! 俺達で奴等を追い詰めるぞッッ!! あの通りは周囲の炎上と街灯で見えやすいはずだッッ!! 」。
ハリガネはヤマナカにそう指示を出しながら、逃げていくデイとホワイトを指差した。
「了解ッッ!! 」。
ヤマナカは双眼鏡でデイ達を確認しながらそう答えた。
「見失わないようターゲットを監視しててくれッッ!! 射線に気を付けろッッ!! まだノンスタンスの残党がいるかもしれんッッ!! 」。
「はいッッ!! 了解しましたッッ!! 」。
ヤマナカにそう伝えると、ハリガネは壁穴から離れてメガネの方へ足早に向かった。
「メガネッッ!! 拡声魔法ッッ!! 」。
「ほいよ~」。
メガネは手の甲に魔法陣を浮かび上がらせると、ハリガネはその手の甲に顔を近づけた。
「騎兵隊ッッ!! 騎兵ッッ!! 王立図書館の正門側へ急行されたしッッ!! 王立図書館の正門側へ急行されたしッッ!! ...あと、現場と本部に通信ッッ!! 」。
「ほいほ~い」。
「こちら王立図書館からッッ!! こちら王立図書館からッッ!! 周囲を偵察中に赤髪のデイと白装束のホワイトに遭遇ッッ!! 二人は我々傭兵部隊との戦闘により負傷しており、現在ユズポン通りを逃走中ッッ!! 大至急、ユズポン通り付近に軍の出動を要請するッッ!! アウトッッ!! 」。
「軍曹っ!! 騎兵隊がこちらに向かっておりますっ!! 」。
ハリガネは再び壁穴の方に歩み寄り、周囲を警戒しながら大きく手を振って騎兵隊に合図を出した。
すると、飛行する複数の魔獣がハリガネ達の下へやって来た。
「おおう~!! 生きとったかっ!! そっちはどうじゃ? 」。
ゴダイがライフルのスコープで辺りを確認しながらハリガネに話しかけた。
「まだ館内に敵がいるみたいですが、ディメンション先輩が対応してますっ!! 今、ノンスタンスのツートップがユズポン通りを移動中ですっ!! 追跡のため協力願いますっ!! 」。
「お安い御用じゃあ~!! わし達で手柄を立てようやぁ~!! 」。
「あざっすっ!! みんな乗れッッ!! 追跡するぞッッ!! 決して見失うなッッ!! 絶対に追い詰めろッッ!! 逃がすんじゃないぞッッ!! 」。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!! 」。
「よっしゃああああああああああああああああああああああああッッッ!!! みんな乗れぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええッッッ!!! 」。
士気の上がった隊員達は次々と魔獣に乗り込んだ。
「それじゃあ、俺はここで避難して...うわぁぁぁあああああああああっっ!? 」。
「何言ってんだっ!! お前も行くんだよっ!! 」。
「えぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええ!? 」。
ハリガネは心底から嫌がるメガネのローブ袖を掴んで無理矢理魔獣に乗せ、逃走しているデイとホワイトを追うのであった。
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