ヨジュのホテルに泊まろう——テツこり第2シーズン

沼津平成

第一部 日本旅行

日本離れ

第1話 ヨジュのホテル

 テツたちがアラバキを離れると言う噂は国民の間を徐々に伝わっていき、国民たちはじわじわとなんとも言えない気持ちに浸っていった。

 テツたちがアラバキを離れる時、最後に泊まったのはヨジュの経営するホテルだった。昨日は「ホテル美肌の湯」に泊まった。荷物を日本に送っていたのだ。

 ヨジュのホテルは郊外にある。アラバキの大きな都市フェルー江坂の、同じ名前の駅から特急で四駅ほど行った山奥を、何分か歩いたところだ。

 とは言えアラバキはいつもジェット機が飛び交っているので、チートを使えばフェルー江坂から二分三秒で着く。

 ヨジュのホテルは、山奥の秘境にあるから、「ここら辺にあるぞ」と知っていなければ見つからない。テツたちは、側近の水上の漏らした「ああ、あそこのホテルはいいよな」という情報を頼りにここにやってきた。

 山奥とはいえ、近くに海があるから、漁獲は豊富だ。そして高級魚がここでは安く並べられている。シマアジ、マダイ、ブリ、ヒラマサ、ウニ、イクラ、カツオ、マグロ、サーモン、ノドグロ——。これらの贅沢なフルコースで一泊二十万問円アラバキドル(二万円)だ。金貨4枚は安い。

「あれ——。うわ、ウマ!」テツたちは感動した。そして白いベッドで寝た。

 

 個室の風呂にはサウナがつけられており、豪華だったが、それだけでなく大浴場もあった。

 テツは個室を堪能した後大浴場にエレベーターで向かった。専用エレベーターは人気がなく静かだった。柔らかい床を踏み締める、たまらない時間。

 エレベーターから降り、そこで目にしたのは——

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ヨジュのホテルに泊まろう——テツこり第2シーズン 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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