第2話 地上
「おおゆうしゃよ しんでしまうとは なさけない。」
これは、某ゲーム で、
主人公がコンティニューするときに王様から言われることばだ。
残念ながら俺はそのゲームをやったことがない。
やっておけばよかったかもしれない。
当時ははやりなんてどうでもいいと思ってた。
でも、その時代の熱っぽさを記憶に残しておくことが、
のちのち自分のアイデンティティになることもあるんだ。
それはさておき。王様は言う。
「しんでしまうとは なさけない。
そなたに もういちど きかいを あたえよう
ふたたび このようなことが ないようにな。
ではゆけ! ○○○○よ!」
まあそんなかんじで
心臓は再び動き出した。
これはパーティが全滅してから1週間後のことだ。
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寒い。
動けない。
声も出ない。
「あなtのおなmえハ」
全身がブルブルと小刻みに震えている。
奥歯がガチガチとと音を立てる。
「あなtのおなmえハ」
寒い。背中が痛い。腰が痛い。
俺が寝ているのはシンプルな硬い手術台のような台。
ペラペラの術衣のようなものを着せられいる。
とはいえ首が動かないので、胸より下や、自分の四肢がいまどうなっているのかさっぱりわからない。
天井が白い。
「あなtのおなmえハ…Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!
質問と一緒になにか
Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!
「ぉー」Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!
Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!
「クr―」Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!Biiiiiiiiiiiii!
ようやく声が出た。
「マ”ル”コ・クロ”ウ」
テテン。と 何かのサウンドエフェクトが鳴った。
自分の名前とともにごぽっごぽっとおかしな咳が出た。
ひとこと言っただけなのにのどが痛い。
「マルコ sン、ォ体に異常はアリマ/ンカ」
「すごくさむいn」
「ソレはナニヨリです。衣服を着用し、隣室で診察を受けてください」
それっきり音声は聞こえなくなった。
たっぷり30分はかかったろうか、起き上がれるまで時間を要し
そこから10分かけ寝台から降りた。
床で力尽きたら、もしかしたらだれか助けにこないだろうか、
いったん試しに力尽きてみたが、その試みは無駄だった。
諦めて部屋の隅にある、(どうやら自分の着ていた服のようだ)を着て
這うように部屋をでた。
廊下は静まり返っている。
カベをたよりに隣室に入ると
白衣の小男がいた。
「マルコさん」
「お加減はいかがですか」
さっきの声はこいつか。
「寒いです。」
「体のリペア中、腐敗防止で部屋全体を冷やしてましてね、体感はそうでしょうねぇ。次回は、すこし温かくしましょう。」
「はあ…」
「痛いところはありませんか」
「全身痛いです。だるくて、しびれてます。」
「まあみなさん、はじめはそんな感じですね。しびれは数日で取れると思います。
腫れ、むくみも。でも開拓のかたはね、慣れっこでしょ、続くようならもう一度ここへ。」
そもそもここは、どこなのだろう。
部屋の様子をぐるりと見まわした。さほど広くもない殺風景な部屋に事務デスクと椅子が二つ。
「予防接種は○○日まで」「手を洗おう」「春の開拓強化月間」などの張り紙に下にはもれなく「神殿広報」と書かれている。
「しんでん?」
「はい、あなたがたは全滅いたしました。
神殿組合の労災保険で回収・復活されましてね。
あ、申し遅れました、担当官・イソベと申します。」
つまりここは、神殿の建物内にあたる。まち役場併設の診療所である。
「お連れさんとあなたは回収され 復活処置されて
あなたはさきほど意識が戻りました。」
「他のは…」
「あー、同地点からの回収は2名。
ほか回収されていないみたいですね、
まあ…こちらではお調べできないので…何とも…
でもおそらくあなたの腐敗具合から察するに、全滅から1週間は過ぎちゃってたので、このタイミングで他の方、見つけたとしてもねぇ、身体の賦活可能期間を過ぎましてねぇ。これ対象外となることは多いです。ご理解ください。」
「そんな」
「生存可能性はゼロではありません。
ともあれ マルコさん、とりあえずまずは本日中にご自身の荷物を受け取って手続きを役場で行ってください。意識戻っちゃったら本日中に荷物をアレしないと廃棄されますので。ちなみに窓口は17時までです。」
時計は15時を指している。
考えていても仕方ない。
ううぅ、とうなり、とりあえず役所に向かった。
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