恐怖のカラオケボックス!『3』番目の部屋に起きた凶悪な悲劇…!

天川裕司

恐怖のカラオケボックス!『3』番目の部屋に起きた凶悪な悲劇…!

タイトル:(仮)恐怖のカラオケボックス!『3』番目の部屋に起きた凶悪な悲劇…!


▼登場人物

●佐和子(さわこ):25歳。OL。カラオケ大好き。

●芳美(よしみ):25歳。OL。佐和子の友達で、同じ会社の同僚。

●静子(しずこ):昔、そのカラオケボックスで自殺した女の霊。3番の部屋に棲み付いている。

●受付:男性。30歳くらい。カラオケ店のカウンター受付係。

●警察:一般的なイメージで。「3番」の部屋に数人いる感じで。その内の1人が佐和子に事情聴取するイメージでお願いします。


▼場所設定

●カラオケボックス:少し広めの部屋でお願いいたします。


(イントロからメインシナリオまでの総文字数=4250字)



イントロ~


カラオケボックスには実は、いろいろなホラー譚がある。

多くの人が訪れる場所にはそれぞれの人にまつわるエピソードがあり、そのエピソードに何らの悲劇でも隠されていれば、それがそのまま恐怖の話にすり替わる事もある…。

カラオケボックスもその1つ…。

今回は都内の一見何気ない普通のカラオケボックスで起きた、信じられない悲劇のエピソードをご紹介しよう…。



メインシナリオ~


ト書き〈会社からの仕事帰り〉


佐和子)「ほーらぁ早くぅ!」


芳美)「わーかってるって!そんな急がさないでよォ~」


語り:佐和子の声で)

私の名前は佐和子。今年で25歳になる普通のOLだ。

今日は土曜日♪

私は久し振りに芳美と一緒にカラオケに行った♪

芳美は私が働いてる会社の同僚。


芳美)「ねぇ~、ボーリングとかの方が良くない??」


佐和子)「だーめ!今日はカラオケ一緒に行くって前から約束してたでしょ?!」


語り)

芳美はそれほどカラオケが好きじゃない。私のカラオケ好きにただ調子を合せてくれていただけ。


ト書き〈都内の某カラオケ店〉


佐和子)「ほーら!早く早く!」


芳美)「もう~急かさないでって!なんでそんなカラオケ好きなのよォ~(汗)」


語り)

このカラオケ店は都内でも結構有名。

いつも客が満杯だったから、私はとにかく「他の客に部屋を取られまい」と精一杯芳美を急かしていた。

これまでにも、一瞬の隙を付かれて他の客が部屋に入っちゃった…って事が何度もあったので、このカラオケ店に来る時はいつでも急がなければ…と私は焦りながら来る。


ト書き〈カウンターにて〉


受付係)「いらっしゃいませ♪お2人様ですか?」


佐和子)「あ、ハイ!」


受付係)「えーっと、申し訳ございません~、ただいまお部屋が満杯となっておりましてぇ、少しお待ち頂ければ…って感じなんですが…」


佐和子)「ゲッ…!マジで…」


語り)

やはりいつもの通り。

大抵この店は待たされる。

運が良ければすぐ空くが、待つ時は小1時間ほど待たされる事もある。


芳美)「ほぅら~待たなきゃなんないんだって!ね、これは行くなって事だよ♪ね、今日はカラオケやめてさ、どっか美味しいモン食べ行こうよぉ~」


佐和子)「だーめよ!今日はカラオケって決めてんだから!それにねー、ここのご飯もケッコー美味しいのよん♪メニューだって一杯あるし♪」


語り)

私は嫌がる芳美を説得し、取り敢えず待つ事にした。

でも次の瞬間、部屋が空いた。

カウンターで帰りの料金を払ってる客を見掛けたのだ。

「ラッキー♪」とか思い私はすぐさまカウンターに向かったが、そこで意外な事を受付係から聞かされた…。


受付係)「大変申し訳ありませんが、まだお部屋は満杯でございまして…」


佐和子)「え…?だって今、お客さん出てったじゃない?あれここのお客さんでしょ?!」


受付係)「あのー、出て行ったお客さんと申しますと…?」


佐和子)「だから今このカウンターでお金払って出て行ったじゃないの?」


受付係)「…?…え、いえ、そのようなお客様は来られてませんが…」


語り)

私はきょとんとした。

確かに今、私と芳美の目の前で、2人のカップルのような客が出て行ったのだ。カウンターで料金を支払って…。

それは芳美も頷いていた。

だが、カウンターでずっと受付をしているこの男は「そんな客はいない」と断固譲らず言って来る…。


ト書き〈仕方なくまた待つ〉


佐和子)「ったく!なによあの受付の男!さっき出てったじゃないよ!ねぇ?!」


芳美)「うん…。でもま、満杯って言ってんだからイイじゃない。ねぇ~佐和子ォ、どっかに美味しいモン食べに行こうよ~」


語り)

芳美も確かに今のカップルらしき客を見ていた。

でも受付係に言わせれば「まだ部屋は満室」という事で、私達は待たされる事になった。


ト書き〈「3番」の部屋が空く〉


受付係)「えーお待ちのお客様ぁ、お待たせしましたぁ!」


佐和子)「あ、アタシ達だ!」


語り)

あれから30分程してやっと「3番」の部屋が空いた。

私と芳美はそのまま部屋に案内された。


ト書き〈部屋に入った瞬間、芳美の様子がおかしくなる〉


佐和子)「やったね♪もっと待たされるかと思ったけど、案外早かったね~♪」


芳美)「もォ~、やっぱりカラオケかぁ~(汗)」


語り)

私と芳美は3番の部屋に入り、私は早速歌い始めようとした。

でもこの時に、何となく芳美の様子がおかしくなり出したのだ…


佐和子)「ん…?ちょっと芳美ィ、あんたどうしたの?」


ト書き〈座りながらブルブル震えている芳美〉


芳美)「…わ…わかんない…な…なんだかこの部屋に入った瞬間からね…体が震え出したの…」


佐和子)「ちょ…ちょっと大丈夫?」


語り)

見た感じ特に変わった様子は無かったが、ただ「震えが止まらない…」と言う芳美に私は少し奇妙なものを感じた。


芳美)「で、でも大丈夫よ♪ね、佐和子、歌お♪」


語り)

私は一瞬「もう帰ろうか?」と言おうとしたが、次の瞬間、芳美が「大丈夫、歌おう」と言ってくれたので、気を取り直して歌う事にした。


ト書き〈佐和子が歌っている途中で芳美がさらに変になり、いきなり佐和子に襲い掛かる〉


佐和子)「わ~たしの~愛を~♪あなたに~届ける前にィ~♪」


語り)

私はカラオケに来るといつも歌う18番を今日も歌っていた。

その歌を途中まで歌った時、急に芳美が急変した!


芳美)「このやろう~~!テメェ!殺してやるゥ!!殺してやるゥ!!ぶっ殺してやるゥ!!」


佐和子)「ぐわっ!…ちょ、ちょっと芳美!何なのよ!ちょっといきなり何なのよ!!」


語り)

私は訳が解らなかった。

急に人が変わったように芳美は席を立ち、私目掛けて突進した後、私の髪や服を引っ張りながら凄い力で殴り出したのだ!


ト書き〈数分後、芳美は静まる〉


芳美)「てめぇこのやろう!!この…」


芳美)「…はっ…、佐…和子、あ…あたし…一体」


佐和子)「ハァハァ…ハァハァ…よ…芳美…、あんた、一体どうしちゃったのよォ!?」


語り)

数分して芳美は急に収まった。

気を落ち着けて、「はッ」とした感じで我に返った。

いま私にしていた事を芳美は、全く知らないといった感じだった。

とにかく落ち着いてくれて良かった…と思い、私はすぐこの部屋を出ようと思った。


佐和子)「ね!芳美、今すぐこの部屋出よう!ね、出よう!」


語り)

この部屋に何かあると直感した私は、頭を抱えながらもやっと落ち着いてくれた芳美を連れて、すぐこの部屋を出ようとした。

しかし次の瞬間…!


芳美)「フフフ…フフフふふ…ははあっはばばあばばあぁ!こいつもアタシの世界へ連れてってやるぅぅううぅぅう!」


佐和子)「…!」


語り)

一旦落ち着いた芳美は部屋を出ようとした瞬間いきなりまた暴れ始めた!

私を思いきり突き飛ばし、倒れた私の目の前で、部屋のテレビの後ろから何かを取り出した。


佐和子)「よ…芳美ィ…あんた…そ…それ…!」


語り)

芳美がテレビの後ろの陰から取り出したのは、血の付いた包丁だった。

「なぜそんな物が!?」と思う間も無く、芳美はいきなり自分で自分の首をその包丁で突き刺した…!


佐和子)「よ…!芳美ィィいいぃ!!」


ト書き〈数日後、「3番」の部屋で警察と一緒に佐和子がいる〉


語り)

芳美はあの時、その場で即死した。

あれからすぐ私は警察の取り調べを受ける事になった。


警察)「もう1度訊きます。芳美さんは急に暴れ出して、自分で自分の首を包丁で刺した…と言うんですね?」


佐和子)「…だから、何度も言ってるじゃありません…か!」


警察)「ふーむ…。でもねぇ佐和子さん、そんな包丁、あの部屋のどこにも見付からないんですよ…」


佐和子)「…え…?」


語り)

私は確かに見た、あのとき芳美が自分で自分の首を刺す時、血痕の着いた包丁で刺したのを。

でも徹底的に現場を調べ上げた警察が言うには、「そんな包丁はどこにも無い」との事。

私はただ混乱していた。


ト書き〈消していた筈のテレビがいきなり点く〉


語り)

私が警察の人とこの「3番」の部屋にいた時、ずっとルーム内のテレビは消していた。

そのテレビが誰の手も触れてないのに、急に「ブゥン…」と言って点いたのだ。

そして画面に映ったものは…


ト書き〈傷だらけの青白い顔をした女が、テレビ画面に大写しになり語り出す〉


静子)「ばああははあはぁあ…バァカめぇ…あ…たしは…静…子…この部屋でェ…自殺したぁああぁ…自殺したぁぁんだああぁぁ」


佐和子・警察)「な…!」


語り)

その画面には、傷だらけの青白い顔をした女が、大写しになっていた。

そしてそのとき部屋にいた皆に向かって、低い声で語り出した。

よく聞くとその女は自分の事を「静子…」と言っていた。

そして「この3番の部屋で自殺した」と、まるで自分の事を私達に伝えるように言って来た。

更に次の瞬間…!


佐和子)「あわわわ…わわ…」


警察)「な…なんだ…これ…は…」


佐和子)「…はっ!…あ…あれ…あれ…」


語り)

私は数人の警察の後ろに隠れて画面を見ていた。その時、悍ましい顔をしたその静子とかいう女の背後に、芳美に似た女がいるのに気付いた。

その画面の中の芳美は首に包丁を刺したまま、白目を剥いて突っ立っている…。

そしてテレビ画面はまたすぐ消えた…


ト書き〈カラオケのオーナーに調べてもらう〉


語り)

警察はそれから店主をすぐに呼び、「この部屋で自殺があったかどうか?」を確認した。

するとオーナーは「数年前に実は…」と告白していた…。

このカラオケ店はこの自殺の事を隠蔽していたらしい。だから警察も知らなかった。

どうもこの「3番の部屋」では、あるカップルが破局して、残された女はその場で持っていた包丁で自分の首を突き刺し、自殺を遂げたらしい…。

女の名前は「静子」と言った…。


佐和子)「(…あ…あたしがあの時にカウンターで見た、カップルのような男女は…もしかして…)」


ト書き〈「3番の部屋」で流れるBGMにはサブリミナル効果のように静子の声が紛れ込んでいた〉


語り)

更に警察の徹底した調べによって、新たな恐怖が発覚した。

なんとその「3番の部屋」だけ、流れて来るBGMの中に、あの静子の声が紛れ込んでいたと言う。その声は知覚できるものじゃなく、無意識の内にプリントされるような「サブリミナル効果」を演出していた。

その声の内容を検証すると…


ト書き〈声の内容〉

『目の前のヤツを殺せ』


語り)

このようになり、おそらくこれを無意識の内に聴いて芳美はあの時、私に突っ掛かって来たのか…。そのようにも思われた。

「私は何ともなかったのに、なぜ芳美だけ…?」この疑問も確かにあったが、私には全く解らなかった…


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=us9Zxx1CL8U&t=200s

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