~Formula broom~ 異世界に転生した私は箒レースで無双する

鳥海 はじめ

プロローグ

『ガガッ……Sara! How are your tires doing!?』

(沙羅、タイヤの調子はどうだ!?)


 私の名前は吉川よしかわ沙羅さら

 年齢はピチピチの17歳。

 職業は……世界一速く車を運転すること。


『Fuckin' no program!!』

(問題ないって!)


 肩書もある。日本人初の女性F1ドライバー……なんて呼ばれている。照れる。今も300km/hを超える超速度で野郎共とドライブデートの真っ最中。


 シーズンのポイントレースは一位を絶賛独走中。史上初の女性F1ドライバーの優勝も間違いないなんて言われてる。レースは何が起こるかなんて誰にも分からないんだけどね。


 そんな超優秀なドライバーだからこそ、確信してしまったんだと思う。


――あっ、野鳥……。


 一匹の野鳥がマシンに激突して、爆ぜる感覚が伝わってくる。そして、その肉片がマシンの中に入り込み、今まで感じたことのないような違和感がマシンから体全体に伝わってきて……。


――くそぉ。もっと……。


 私は確信してしまった。

 自らの死を。


――もっと走りたかったなぁ。


 それが私の最期に思ったこと。


 それからの記憶は、ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る