第30話 雪の精霊

■フィオレラ村 工房長屋

 

「姐さん! 外に女の子が倒れてますよ!」


 エミルからお茶を貰い、俺らがゆっくりしていると片付けをしていた弟子のフィリップが急いで部屋の中へと入ってくる。

 その腕の中には小さな女の子が抱かれていた。

 透き通るような白い肌に薄い水色の長い髪の毛をしている女の子である。


「村の子ではないのか?」

「知らない子ですね……姐さんは?」

「先に言っとくけど、あたいの隠し子でもないよ」

「そんなことはいちいち言わなくてもいいだろ、全然似てないんだから」

 

 そうテーブルの上に寝かされた女の子は色白であり、エミルは褐色系だ。

 雰囲気が全然違うので親子と間違うことはない。


「パパ、この子はフロスティアだよ」

「雪の精霊ね。山の方に住んでいると聞いているけど、何かあってコッチに来たのかしら?」

「また精霊か……俺は引き寄せる何かでもあるのか?」

「モテモテだねぇ~」

「俺に幼女趣味はない。ともかく、ここに置いておいては仕事の邪魔になるだろうから、教会へ戻ることにするよ」

「そうかい、まぁ手土産代わりに祭りで振る舞うパンの試作持っていきなよ」


 俺が眠っているフロスティアを背負っていると、エミルの言葉にフィリップがクルミなどを練りこんだパンを持ってきてくれた。


「わーい、エミルおば……お姉さんありがとう!」


 ドリーが何かを言おうとした瞬間エミルの眼光が一瞬鋭くなった気もするが、気のせいとしておきたい。

 

「雪か……もしかして、この子が原因か?」


 俺がフロスティアを背負って外にでると、しんしんと雪が降り始めていた。

 晴れていた空が雲に覆われているので、本降りになる可能性は高い。


「その可能性もあるけれど……あたしも詳しくフロスティアについては知らないわ。ホリィなら知っていそうよ」

「俺もそうだと思ったところだ、足元が雪に覆われる前に急いで戻ろう」


 フロスティアを背負い直して、俺は急ぎ教会へと戻るのだった。


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【あとがき】


お読みいただき誠にありがとうございます。


幼女精霊も追加です。

精霊との交流もこの作品の一つのテーマとしていきたいので

ぜひ、追っていただけたらと思います。



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