第7話 お散歩日和
■フィオレラ村 教会
朝食を済ませた俺達は昨日宴で頼まれたように畑を何とかすることから始めるために見回りをすることにした。
「私は教会の仕事もありますから、すみませんがキヨシ様だけで村長さんの家にいってください。そこで案内の人を用意してくれると聞いてますから」
「わかった。色々すまないな」
「いえ、女神セナレア様のお導きのままに……キヨシ様でしたら、祈らずとも加護がありますよね」
うふふふと微笑んだホリィはバスケットを渡してくれる。
中にはパンとワインが入っていた。
「昼飯か……もっとおいしいものを食べられるように、俺がなんとかしていかなきゃな」
「期待していますよ」
「パパならできるよー!」
「よっし、やるか!」
女子に応援されるとヤル気になるので男って単純である。
そんな風になったのは、間違いなくこの二人が俺を肯定してくれるからだ。
「じゃあ、いってくる」
「パパとおさんぽー」
「はい、いってらっしゃいませ。帰りをお待ちしてますよ」
手を振って俺を見送ってくれる姿を見て、胸が熱くなったのは秘密である。
■フィオレラ村 村長の家
「ようそこ、おいでくださいました。うちの孫がキヨシ様の力になりたいとおっしゃっておりまして」
「じーちゃんを助けてくれてありがとう、キヨシ様! 村の案内はおいらが手伝うよ。畑仕事も手伝っているから、いろいろ教えられるぜ!」
村長の家にいくと、元気に動けるようになった村長と頬にそばかすの残る少年がいた。
「うん、某アルプスのヤギ飼いみたいだな……」
「ウチの村はヤギなんか飼ってないぞ?」
「ああ、なんでもない。すまないな……」
思わず言葉にだしてしまったのを反省して、俺はペーター(仮)に謝る。
「ああ、名乗ってなかった! おいらの名前はピエトロ。仲いい奴はピーターって呼ぶんだ」
「ピーター! ドリーはね、ドリエルなの!」
「ど、ドリーも……よ、よ、よろしく、なっ!」
手を差し出したドリーと握手をするピーターだが、顔が真っ赤になっていて照れているようだ。
ははぁんと俺は納得する。
この少年は俺を助けるということもあるが、ドリーが目的なのだ。
ドリーは確かに可愛い。
人懐っこい笑みを浮かべ、表情がくるくるとかわる。
小さい背丈なところも相まって愛らしさが大きかった。
姪っ子のようなものであり、正月になればお年玉をちょっと色を付けてあげたくなる。
「っと……ペ、じゃなくてピーター。よろしく」
「おう! おいらに任せて! キヨシ様、ドリー」
キリッと親指を立てて決め顔をするピーターと共に俺達は村の畑に向かうのだった。
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