異世界鉄道 ~世界を救う者の物語~
小宮 アオイ
プロローグ
第1話 完成
——世界軸51 ???基地
金属の切断音や溶接などの音が響く空間。敷かれたレールの上には、長さおおよそ400メートル。幅3メートル強。先頭には動力車らしき物があった。その見た目は古くからあるものとは違い何処かSFさや宇宙船のような感じの機関車であった。1部車両には、屋根に機関銃等も備え付けられていた。
「我はこの時を待ちくたびれたぞ。なぁ、
「あぁ。あれから5年か。短いようで長かったなぁ。」
動力車の真正面に立つ2人がそう話してた。片方はローブを着用しており顔も見えていない。身長は170くらいであろう。そして、その喋り方には何処か重厚な物があった。もう1人は身長が高く、180くらいあった。服装は白色の長袖に黒の薄い長ズボンをはいて、その上からブロンズ色や焦げ茶色のスカートのようなものを履いている。頭にはゴーグルがあり、技術者のような見た目であった。
2人がそんなことを話していると、後ろからまた別の男性が声をかけてくる。
「魔王様。出発前に魔界へ行かなければならいのですが、よろしいですか?」
個性的な服装ではなく、キチッとしたスーツで登場する男性。身長は180くらいあり、頭からは鬼のようなツノが1本生えていた。そして、その話し声に反応したのは、ローブで囲まれた男だった。話の流れ的に彼は魔王なんだろう。しかし、何故此処に魔王がいるのか。
「側近よ。我もすぐ行くから。先に魔王城へ」
しかし、その話し方は魔王のような感じではなく人のようであった。そんな不思議な光景が続いているが本当に此処は何の組織で何の基地なのか。
——世界軸35 「ノムラバス星」 魔境
世界軸53と言う世界に存在する「ノムラバス星」。沢山の種族で構成されており、人境(人が暮らす所)や魔境等も存在している。そして、その星の魔境にある薄暗い魔王城では、普段と違う別の雰囲気があった。そして、その雰囲気が強くなっている1室では会議が行われていた。
「我と側近は暫くの間。不在とする。だから、四天王である、お前らに此処の統治を任せる命令を課す」
先ほどのローブを着た男はそう話す。そして、四天王とよばれた竜族・鬼人族・
「魔王様が遠征ですとは。悲しい」
そう話すのはエルフであり、北の四天王【ユネス・ルミス】。そもそも何故エルフである彼女が四天王なのかは置いて置く。それを話した彼女は悲しむのであった。
「しかし、我々はこの魔界の統治を任された。責任を持ち行動するぞ。なぁ、アルデナ」
次に話すのは、竜族、南の四天王【サイザ・ナミルク】。やはり竜族なので背中には立派な竜の羽。鋭い瞳孔であった。そして、アルデナと呼んだ鬼人族の肩を叩く。
「えぇ。そうですね。ナミルク。魔王様に心配は掛けれませんしね」
アルデナと呼ばれたのは、鬼神族、東の四天王【ルハルド・アルデナ】。そして、最後まで口を開かずじっとしていた……。と言うか気落ちしていた西の四天王【ホーン・マルッテド】。名前の通り骸骨の彼はアンデットにして、此処まで上り詰めてきた。戦闘の実力より頭のキレで、評価されており、その知識は側近に限りなく近いと言われている。しかし、アンデットなので自信が持てず今みたいに静かにしているのであった。
「魔王様がご出発されます。最後に挨拶はどうしますか?」
数分の時間が経過すると側近は扉を開けてそう言うのであった。背中にはリュック。そして、手には箱のような鞄が握られており大荷物であった。
それを聞いた四天王は一目散に部屋を出ていき入り口まで走るのであった。
「側近。準備は出来たな?」
「えぇ。出来ました。私は行けます」
「では、四天王。後は任せたぞ」
それを聞いた四天王は敬礼をして魔王が作られたワープホールを通るのを見送るのであった。
——世界軸51 ???基地
「おーい。魔王様のご登場だぜ」
「そんなことを言ってられるのは今だけだぞ。ネフェスト」
先程話していた男性に向けてそう話すのであった。《ネフェスト・ハルド》。魔王と違う世界軸から来た勇者。しかし、なぜ敵対関係であろう者が親密なのか。そもそも何故この状況になっているのやら。
時は世界軸35の魔境の6年前へと遡る。
—————————————————————後書き兼解説
世界軸。
地球のある世界を1つの軸として考えた時、別世界も軸として考えてナンバリングした数。軸の差が大きいほど世界は離れている。
因み地球のある世界軸は154であるが、魔王が帰ったノムラバス星のある世界は、35である。
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