第35話

私が、精霊となって、しばらくの時が経っていた。私は大きな問題に直面していた。それは無意識下でも魔法を常時発動しているということである。


両親には、当然私が精霊になったことは伝えていないので、呼吸するかの如く、当然に常時発動している魔法を察知されないようにしなければならないし、今の私を見られることで精霊だとバレると面倒くさそうだと思う。


というのも、精霊との融合実験は今では一応禁忌とされているからであり、精霊になっていることがバレたら私がどうなるか想像に難くない。


とはいったものの、精霊と契約するだけで、人から精霊に近い存在になることは間違いがなさそうなので、そこまで深刻に捉える必要はないのかもしれない。


まあ、正体を隠せるなら隠せたほうが良いとは思うので、バレないようにはしたいと思うが…


一応、私が精霊であることを隠すために、隠蔽魔法とでも言うべきものを使っているのと、光魔法で黒髪黒目に見えるようにしている。


そして、一番大きな問題の常時発動している魔法なのだが、それは私を中心とした一定範囲の浄化と、凍結である。


生物が、私に一定距離までちかづくと凍るか、浄化されて消えてしまう。


勿論意識をすれば、他の人に魔法の影響を与えることはないので今のところ誰かに害を与えたなどということはないのだが、このままでは時間の問題だと思う。


凍らせる魔法に関しては、雪ちゃんに頼めばなんとかしてくれるので良いのだが、浄化の魔法の止め方がわからなかった。


浄化の魔法は、一定範囲を浄化するものなのだが、それだけでは分かりにくいと思うので、実際に起きたことを説明すると、私に近づいた魔物が消えた。私が何をする間も無く光の粒子となって消えていった。


まあこれは、光魔法で似た魔法があるようなので、その魔法を使っていることにしようと思う。


また、この魔法で倒せるのは弱い魔物だけで強い魔物となると効果はないようであることを直観する。


魔法の制御に関してはこれから頑張っていかないといけないなと思い直しつつ、他のことについて考えてみる。


私は精霊になった。それは、私の体は魔力によって作られているということであり、魔力がなくなれば私は死ぬのだろう。


なので、以前のように魔力を使い切って増やすという方法は取れない。一応、魔力を含む食べ物を摂取することで増やすこともできそうだが、よほど強い魔物由来のものを食べないとそこまで増えないだろうことは予想できた。


なので、今後の私としては、魔力を増やすためにレベルアップが必要なんだと思う。これに関しては、今すぐにどうにかできることではないので、今後頑張っていこうと思う。


そういえば、精霊になったからと言っても剣を使えないわけではないし、剣を使って戦うこともできる。


ただ、剣を使うよりも魔法を使った方が良いと思う。それは、魔法で近距離戦の間合いに詰められないような、圧倒的な物量による攻撃が今の私にはできるので、結論、魔法で良いとなっているのだ。


しばらくの間、魔法を練習をしたり、制御できるように頑張ったりと色々としてきたのだが、あまり成果は出ていなかった。


そもそも、弱い魔法の威力の制限すらできていなかったのだ。魔法を練習する場所も家であるため大きな魔法を使うことはできず、簡単な魔法を使っても威力が強すぎるという問題が起きているのである。


そういえば、上位の精霊と契約した人は、魔法の威力の制御が出来なくなることがあるという話を動画で昔見た気がする。


私の場合は、契約したからではなく、私が精霊そのものになってしまったからなのだが…。


本格的に魔法の練習がしたくても、今の環境では出来ないことに、どこかもどかしさを感じていたが、出来ないものはしょうがない。


そういえば、久しぶりに周囲の人たちを見ていると、いつの間にか弟が剣の稽古を始めていた。


お父さんと楽しそうに剣術の稽古をしていたのである。私は、空気を壊すのは嫌だったのでその場から離れておいた。


別に両親との関係が悪いわけではないが、いつからかもう覚えていないが、そんなに喋ることがなくなったのである。


十中八九私が精霊に近づくにつれて徐々に喋らなくなったのであろうと思うが、そのことに対して悲しいなどの、感情も感じられないようになっていた。


私に唯一残された想い、それが理想のヒロインを演じるということである。だが、こんな態度では理想のヒロインとはいえないだろう。


まあ、私が感情が無くなっている?から仕方ない事かもしれないが、感情すらも演じる必要があるとは思った。


そこで最近は、ボイストレーニングの動画を見てみたり、アイドルのトレーニングの動画を見て学んでいたりする。


感情をつくれるように頑張っているといつの間にか卒業式を迎えていた。そういえば、同級生の顔や先生の顔すら覚えていないし、名前すら思い出せない。


そういえば、修学旅行や、林間学校などのお泊まりがある行事は全て休んでいたように思う。


周りを見渡せば、「また会おうな!」とか、「…ちゃんまた会おうね。絶対だよ」とか再会を約束するような言葉を掛け合っている。


中には涙を流している子もいるなか、私ただそこに立っているだけだった。


ぼーっとしているのも時間の無駄なので、魔法で遊んでいると、いつのまにか卒業式は終わり、最後のホームルームが開かれていた。


そうして、先生による最後の挨拶が終わり、解散となった。周囲の子たちは、写真撮影や連絡先の交換など色々と楽しんでいるようであったが、私はそそくさと足早に教室を出た。


結局、よくわからないまま終わってしまった小学校生活ではあったものの、理想のヒロインに近づけたのは間違い無いのだから、これ以上なく良い結果だと言えるのだろう。


小学校卒業後は、休む間もなく進学先の寮に入るために色々と手続きをしなければならない。


そういえば、報告は遅れたが、ちょっと前に受けていた横浜魔法学園の入試に私は受かっていた。


この学校は全寮制で、早い子は明日にでも寮生活を始めるらしい。そこでは、最新の技術を惜しみなく使った訓練場であったり、最新の技術にアクセスできる端末なんかが用意されているようだ。


そして何より、全国に魔法学園が10個しかない理由。それは、学園がダンジョンの上に建てられていることである。


冒険者や魔法使いを育成するための学園を作るにあたってダンジョンがなければ話にならなかったのだろう。


このダンジョンは学園の関係者しか入ることは許されておらず、ここであれば生徒は安全にレベルを上げることができるようである。


少しでも早くスタートダッシュを切りたい子は一日でも早く寮に入るようであった。


私も魔法の練習がしたいし、入寮手続きが済んだら早く入ってしまおうと考えている。

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